美容室の経営する上で、客単価は最重要です。
なぜなら、客単価は、売上を形成する大切な要素だから。
今さらボクが言うまでもありませんが、
売上 = 客数 × 客単価
ご覧のとおり、売上を確保するためには、
客単価が低ければ、客数を増やさなければならないし、
客単価が高ければ、少ない客数でもまかなえます。
客単価の意味するところは、これだけではありません。
客単価は、お店が目指す方向性(コンセプト)を表しています。
1000円カットは、分かりやすいですよね。
薄利多売の典型ですので。
良しにつけ悪しきにつけ、お店の方向性が認知されれば、お客さまは来店します。
方向性が明確なほど、お客さまにとって選びやすいからです。
美容師は、物販ではなく、技術職なので、出来ることなら高単価を目指したいですよね。
健全な店舗経営のために、単価アップは美容師の至上命題です。
本記事では、実際にボクが取り組んできた単価アップの施策3つを紹介します。
ラインナップは下記のとおりです。
- ポイント制の廃止
- 値上げ
- コンセプトを研ぎ澄ます
1. ポイント廃止
個人店のポイント付与&還元は、はっきりいって無理ゲーです。
その根拠がこちらです。
上記は、楽天ポイントの『内容変更のお知らせ』です。(2014年のものです。)
現在、楽天カードは一律1%の還元ですが、上記の変更が示すとおり、ポイントのばら撒きは、自らの首を締めかねません。
こうしたポイントの付与&還元は、体力のない個人店レベルがボクらには、到底真似できません。(自殺行為です)
美容室におけるポイント付与は、何もせずとも起きています。
クレジットカード支払いは、それに当たりますよね。
お客さまがクレジットカードで支払った場合、
お客さまはクレジットカード会社よりポイントが付与されます。
お店はクレジットカード会社に、手数料を支払います。
今のところ、PayPayなど、スマホによるキャッシュレス決済は、手数料は発生していませんが、後に大きな負担を強いられるのは間違いないでしょう。
さらに、ホットペッパー(クーポンサイト)を利用しているお店は、来店のたびにホットペッパーからポイントが付与されるため、
お客さまは、クーポンサイトとクレジットカード会社のダブルでポイントを獲得することができます。
はたして、その上で、お店が独自にポイント制を敷く必要があるのだろうか。
ボクはポイント制の廃止を決断しました。
理由は、もう一つあります。
“ポイントの切れ目は、縁の切れ目”
だからです。
貯まったポイントを相殺した瞬間に、そのお店に通う理由が一つなくなる。
このような経験をしたこと、ありませんか?
いずれにせよ、損得勘定でつながっている関係は、危ういということです。
お客さまと信頼関係を築く中で、ポイント制はかえって足かせになる。
考え方によりますが、ボクはそう思っていますし、ポイント制廃止によるお客さまの反響は、ほぼゼロでした。
単価アップに欠かせないのは、安売りの廃止です。
2.値上げ
かなりの覚悟が必要ですが、ボクは値上げに踏み切りました。
実際に、値上げにより、来店しなくなってしまったお客さまもいます。
それでも、売上は順当に上がり、材料の質を高めることができ、スタッフにもこれまで以上に還元できるようになりました。
値上げの効果は、これだけではありません。
値上げにより、新規客が増えたのです。
理由はおそらく、選ばれやすくなったからだと考えています。
ボクはたびたび、自分が客になったつもりで、美容室を探します。
ゆかりのない土地に、引っ越したつもりで探すと、わりと効果的です。
その時に、いつも感じるのが、
「どこを選んでいいか分からない」のです。
結局、仕方がないので、価格帯から選ぶことになる。
目安になるのが、カット料金です。
お客さまにとって、カット料金は、そのお店の方向性を知るための大きな手掛かりとなります。
来て欲しいお客さま像 = お店のコンセプト
改めて、上記の重要性を感じます。
3. コンセプトを研ぎ澄ます
ボクのお店はには、”40歳以上の女性を若々しく、美しく”というコンセプトがあります。
主力メニューは、白髪染めです。
中でも、ヘナカラーを占める割合が高い。
ヘナカラーは、通常の白髪染めよりも高価なので、結果的に単価アップにつながります。
コンセプトを研ぎ澄ますと、お客さまの喜ぶ姿が明確に見えてきます。
お客さまの問題を解決するための
- 新メニュー
- 新商品
だったり、メニューを組み合わせて新たな価値を作り出したり、サブスクリプションやチケットなど、新たな展開も想像可能です。
コンセプトを研ぎ澄ます→ターゲットが明確になる→ターゲット(お客さま)が喜ぶ姿が見える→新メニューや新商品を展開する
お客さまの満足 = 単価アップ
となるわけです。
まとめ
単価アップのための『3つの施策』をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
「安価が喜ばれる」はお店の思い込みです。
単価アップが受け入れられるのは、お客さまに喜ばれている証拠です。
今回は、安売りをやめることと、値上げについてお伝えしましたが、
その理由は、適正価格での販売を目指すべきだと思っているからです。
適正価値とは、お店の価値です。
ボクたち美容師は、自分(価値)を高めることを目指すべきです。
単価は価値を測定するバロメーターだと考えています。
昨年(2018年)は、美容業界にとって、大きなターニングポイントになりました。
- 店舗数25万件突破(過去最高)
- 倒産件数119件(過去最低)
今後ますます、高単価or低単価の二極化は進むと予測されてますが、
それは少し間違えた見方だと思います。
そうではなく、今後の美容室は、細分化されるのではないかと考えます。
それは、価格帯の差だけではなく、専門的とも言えますし、コンセプト別とも言えます。
どういったお客さまに、愛される店を目指すのか。
今一度、見直す機会ではないでしょうか。
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