ハリルホジッチの眼中に有るのか否か、心中は伺いしれませんが、近年のJリーグを支え、盛り上げているのは、光り輝く一粒の新生ではありません、むしろ、中年の戦士ではないだろうか?ここでいう”中年”とは、各チームで主力を担い続けるという意であり、Jの戦いを熟知している選手を指す。2012年の佐藤寿人(サンフレッチェ広島)、2013年の中村俊輔(横浜Fマリノス)、2014年の遠藤保仁(G大阪)、近年選出された最優秀選手を振り返れば、その活躍ぶりは一目瞭然です。そして今季、2015年。横浜Fマリノスのレギュラーには、2年前の優勝チーム、サンフレッチェ広島との熾烈な争いを演じた、当時のメンバーが、今もなお、チームを支え続けている。
Jリーグ第11節 横浜Fマリノスvsアルビレックス新潟
▼日産スタジアムは空席も目立つも、ここサポーター席は、相変わらずの熱狂ぶり
Jリーグ第11節 〜横浜Fマリノスvsアルビレックス新潟〜
中村俊輔、栗原、ラフィーニャを怪我で欠くものの、中澤、小林祐、中町、富澤、斉藤学、と、この日の先発メンバーには、2013シーズンの中心選手がズラリ。新加入のアデミウソン以外は、ほぼお馴染みの顔ぶれが中心のFマリノス。下位を並走するアルビレックス相手にのぞんだフォーメーションは3バック。富澤、中澤、ファビオを並べ、前節2−0と、名古屋グランパス相手に完勝した勢いをそのまま繋いできた格好だ。
そもそも、なぜ、モンバエルツ監督は、開幕当初から敷いていた4バックから、3バックに変更を決断したのか。恐らくそれは、連敗中だったチームを立て直す打開策の一環であり、相手の布陣に真っ向勝負を挑む、”ミラーゲーム”による勝利を目論むものだ。ところが、この日のアルビレックスが敷いたフォーメーションは4バック、Fマリノスには、前節の勢いは感じられなかった。
ミラーゲームに持ち込み真っ向勝負を挑む。
▼古巣からのゴール!今季初のゴール!三門ゴーーーーール!!
0ー0で、なんとか折り返すことができた相手ペースの前半から後半、マリノスは、中町を二列目に上げて、富澤をボランチに配置。3バックから4バックへシステム変更。アルビレックスのフォーメーションに真っ向勝負を挑む、得意の”ミラーゲーム”に持ち込んだ。すると、前半孤立気味だったアデミウソンに、二列目に並んだ中町、藤本、斉藤が果敢に絡み攻撃を活性化。そして迎えた後半16分、アデミウソンを囮に、三門から中町、そして再び三門がボールを受けて冷静にゴールに流し込む!この後、喜田と兵藤を投入し追加点を狙いにいくも、このまま試合は終了。1ー0、磐石の勝利を収めました。
”カンペー”こと富沢清太郎
▼2つのフォーメーションを操る立役者”カンペー”
試合の流れに応じ、メンバーを変えずとも、すんなりとフォーメーションを変更できるFマリノスを支えているのは、ディフェンダーとボランチを器用にこなすカンペーこと富澤清太郎の存在にほかならない。元々は、前目のポジションでプレーしていた富澤は、この日も惜しいシュートを放つなど技術も高い。卓越した読みは、果敢に相手のチャンスを摘み、同サイドの小林祐の上がりを巧みに引き出す。得点を決めた横に並ぶボランチの三門の攻撃参加もサポートしつつ、センターバックとの守備の連携にも常に注視する。「今後は2つのフォーメーションを併用して戦いたい。」試合後のインタビューでこう語っていたモンバエルツ監督にとって変えのきかない選手こそが、富澤ではないか。
手数をかけず、スピーディーな展開が多く見られる今シーズンのJにおいて、首位を走るレッズの阿部のような、守の選手の台頭がするチームが優勝争いを制するのではないか。もしこの予想が的を得るようであれば、Fマリノスの浮上も決して夢ではない。とはいえ、GWを挟んだ超過密日程、最後の消耗戦の中で獲得した勝ち点3は大きい。
勝村大輔