サッカー馬鹿

2015.6.7

独自のスタイルを貫く好ゲーム〜J1 1st 第15節 川崎Fvs湘南B〜

さて、またもや神奈川ダービーである。湘南ベルマーレ、川崎フロンターレ、横浜Fマリノスと県勢3チームを輩出する今季は、各々が対戦するカードをその頭文字を取り、”SKYシリーズ”と呼ぶようだ。

J1 1st 第15節 川崎フロンターレvs湘南ベルマーレ(等々力)

▼20000人を超える大観衆の等々力球技場
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ここまで14節を終えて6位川崎、7位湘南と、順位こそ拮抗しているが、6位に甘んじる川崎、7位と健闘している湘南、中位を彷徨う両者には、チーム状況が顕著に現れている。

大久保、レナト、小林悠、負傷離脱した小林悠の代わりに先発起用され、リーグ戦3試合連続ゴールをマークし、期待通りの活躍を見せている杉本健勇らを前線に据え、今季25ゴールと、爆発的な攻撃力を誇る川崎。さらに卓越したゲームメイクで攻撃を牽引する中村憲剛、そして、先日発表されたW杯アジア2次予選に臨む日本代表メンバーに選出された谷口。豪華布陣にも関わらず、前節の清水戦で5失点を喫するなど、ここまで波に乗り切れていない。

対する湘南は、昨季22得点を叩き出したストライカー、ウェリントン退団後、得点力に苦しむ湘南は、これまでのゴール数は15と少ないが、ここ4戦連続無失点に抑えるなど、永木、遠藤航らを中心に粘り強い戦いを見せている。

そして今節、攻守の起点、永木を累積警告で欠く湘南にとっては、川崎の圧倒的な攻撃力を前に苦戦が予想される。

自らのスタイルを貫く両チームの攻防の末に・・・。

▼多勢のサポーターが駆けつけた湘南ベルマーレ・サポーター
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中村憲剛を先発から外し、谷口をボランチで起用。前節の大敗から心機一転、本来のスタイルを取り戻すべく、落ち着いたボール回しから様子を伺う川崎、一方の湘南は、前節の広島戦と同様に前線から積極的にプレスを仕掛けボールを奪いに走り回る。前半4分、前線からのボール奪取、パスを受けた遠藤航が中央にクロス、高山が押し込み先制。手数をかけない素早い攻撃で湘南がリズムを掴む。

後半に入ってからも湘南の優勢は続くが、フィニッシュに精度を欠きゴールには至らない。対する川崎は中村憲剛を投入後、徐々にリズムを掴む。そして迎えた後半60分、その中村のドリブル突破からPKを獲得。そのPKを大久保が落ち着いて決め同点い追いつく。

その後、一進一退の攻防が続く両チーム、このまま同点で試合終了かと思われたアディショナルタイム、相手クリアのこぼれ玉を拾ったエウシーニョが豪快にゴールネットを揺らす!2−1、川崎フロンターレが劇的決勝弾で神奈川ダービー制した。

神奈川ダービーという響きの違和感

アウェイながらも多勢のサポーターが駆けつけた湘南サポ、この日20000人を超える観客動員を記録した等々力球技場を盛り上げたのは、独自のスタイルを貫いた湘南サッカーと、ビジタースタンドを埋め尽くした湘南サポーターであることに間違いはない。ただ、ダービーマッチという特有の空間を感じたかといえば、それはまた別である。川崎フロンターレと湘南ベルマーレの間には同県勢であることのほかに、さほどの因縁関係がないからだ。また、両チームのサポーターの応援スタイルも酷似しているのも気のせいではない。この日の等々力には因縁というよりは、むしろ友好的な雰囲気があったのではないだろうか。

そもそも日本には本気のダービーマッチなど存在しない。純粋なライバル対決をダービーと煽る必要など全くないのだ。粘り強い堅守を見せつけた湘南、鮮やかなパスサッカーで観客を虜にする川崎。好ゲームを演出したのは独自のスタイルを貫く戦いにあったのではないだろうか。

勝村大輔

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