J2 第18節 京都サンガF.C.vs横浜FC(西京極)
▼ザルツブルグ移籍が決定した奥川を送り出す京都サポ
FCレッドブル ザルツブルクへの移籍が決定した19歳奥川雅也。欧州移籍に挑む若き侍の勇姿をひと目みたい。J2第18節 京都サンガF.C. vs 横浜FC 西京極に駆けつけたファン、サポーターは14811人、他会場を圧倒する観客動員を記録した。
久保裕也(スイス ヤングボーイズ)、南野拓実(オーストリア レッドブルザルツブルク)ら、近年、若手Jリーガーの海外挑戦が続いている。リオ五輪出場を目指すU22日本代表を始め、アジアでの苦戦が続いている若年層だけに、個のレベルアップは、代表の強化に直結する。まずはJでの実績を、という声も聞こえそうだが、個人的には勇気ある決断をした奥川を評価したい。
海外組が大半を占めるA代表の現状を見ると、よほどの実績がない限りメンバー入りは難しい。たとえビッグクラブへの移籍を果たしたとしても、試合に出続け、活躍できなければ、声は掛かることはない。代表のレベルアップとサバイバルは常に表裏一体なのだ。
あくまでも個人的な意見だが、恵まれた環境で育ったユース出身の選手だけでは世界とは戦えない。現にA
代表で活躍する選手の多くは、高校選手権あがりの選手で占められている。本田、岡崎、長谷部、川島ら、その殆どと言っても過言ではない。高校出身の選手を雑草と、ユース出身の選手をエリートという表現自体は好きではないが、苦境から立ち上がることで培われた逞しさ、その強さこそが、ここ一番での勝敗を左右するように思えてならない。
”巧”いから”強い”へ
▼奥川「29」が古都のネイマールと呼ばれる所以
この日、左サイドハーフで先発した奥川、パス、ドリブル、シュート、ラン、彼の才能を感じるのに、五分あれば十分だ。卓越したボールコントロールは、明らかに群を抜いている。
しかし、試合には負けた。34分、松下のFKで先制され、後半開始直後の46分には、寺田に右サイドを突破され、フリーで待ち構える小池のヘディングで追加点を奪わる。横浜FC相手に1点を返すにとどまった京都。
とはいえ、京都が終始劣勢だったかというとそうではない。どちらかといえば攻めあぐねていたという表現が正しいであろう。シュート数5の横浜FCに対して10本のシュートを放った京都。ゴールを決めきれない要因に、奥川が関係しないはずがない。
奥川は確かに巧い、しかし、少なくともこの日は、試合を決める選手ではなかった。しかも舞台はJ2である。決してハイレベルとはいえないオーストリア プレミアリーグだが、人気クラブだけに、サポーターの目に誤魔化しは効かない。
巧い選手から強い選手へ。助っ人である以上、巧いのは当たり前、試合を決めれる選手でなければならない。ユース出身の19歳奥川の挑戦は、今後の日本サッカーの発展を占うと言っても過言ではない。
リオ五輪出場を目指すU22に最も必要なのは、奥川ら海外組がもたらす”強さ”ではないだろうか。