FIFA女子W杯カナダ準決勝〜日本代表vsイングランド代表〜
▼これまで下馬評を覆す戦いを見せてきたなでしこJAPAN
あまりにも劇的な結末だった…。
劣勢の隙間から繰り出されたなでしこの鋭いカウンターがオウンゴールを誘発。タイムアップ間際のゴールで見事!2大会連続のファイナリストに名乗りを上げた。
弱みを認め、強みを活かす。なでしこらしい戦いは、準決勝でも健在だった。体格差で勝るイングランドのパワープレーに対し、しっかりと身体を当てフィニッシュさせない。一方で技術、スピードが武器のなでしこは、持ち前のパスワークから相手守備陣のほころびを見極める。試合の入りはかなり良かった。
▼宮間の完璧PKで先制!
「連戦の疲れがプレーの精度を欠いてしまった。」試合後のインタビューでこう語った佐々木監督の言う通り、時間の経過と共に動きが重くなるなでしこは、攻守の切り替えのタイミングを狙われボールを失い、相手のパワープレーに翻弄される。劣勢を強いられる展開が続いた。
後半に入ってからも、一進一退の攻防を繰り広げた両チームだが、徐々にイングランドの方に、数名の選手が足をつるなど疲労の波が襲いかかる。
▼今大会キャプテンマークを巻く宮間のリーダーシップがチームを牽引
試合を決めたポイントは二つ、一つ目は両監督の采配だ。たら、れば、と言ってしまえばそれまでだが、疲労により選手交代を余儀なくされる不運こそあったイングランドは、エース、カーニーを早めに投入するなど、勝ち急ぐ雰囲気があった。対する佐々木監督は、ゲームプラン通りに岩渕を投入するなど、延長戦をも考慮する余裕の采配を見せた。あくまでも決勝戦に照準を合わせる。そこには王者の風格があった。
そして二つ目は、諦めない気持ち。その精神力を支えた持久力にあったのではないだろうか。決勝ゴールのシーンは、決してイングランドの不運ではない。圧倒的なスピードで右サイドをぶっちぎった川澄のドリブル、そして、急所をついた精度の高いクロス。中央で待ち構えるのは、ニアをねらう大儀見とファーからこぼれ球を狙う岩渕。完全に崩された格好となったディフェンダーがオウンゴールを犯してしまうのは、サッカーではよくあることだ。
苦しい時に走れる。苦しいからこそ走る。奇跡は待つものではない、起こすものなのだ。さあ、いよいよ決勝戦だ。格上アメリカ相手に奇跡を起こす。トロフィーを掲げる準備は整った。
勝村大輔