J2 第22節 横浜FCvsC大阪(ニッパツ三ツ沢)
▼キングの出場を待ちわびる声があちらこちらから聞こえてくるが・・・
平日開催のJ2、しかも豪雨である。4桁スレスレと・・・観客動員に苦戦する他会場もある中、ここニッパツの観客動員は3728人、メインスタンドとバックスタンドにこそ空席は目立つものの、両ゴール裏のサポーターシートは、スカイブルーとピンク、それぞれのチームカラーのポンチョで埋め尽くされていた。
試合は、9位横浜FC、対する5位C大阪、ここ数試合負けのない好調同士の対戦は、「0−0」スコアレスドローに終わった。
豪雨により視界は悪く、ピッチにできた水たまりにことごとくボールは止まる、最悪なコンディションに苦しむ両チーム。正直な話、決定機も少なく見所も少ない。テレビ観戦だったらおそらくチャンネルを変えていたに違いなかっただろう。
しかし、スタンドでしか味わえない、ニッパツでしか味わえないであろう臨場感がココにはあった。
豪雨とスコアレスとゴール裏
▼少数精鋭ながらもピッチに響き渡るゴール裏のFCサポの声援
スタジアムに鳴り響くアナウンス「傘を差しての観戦はご遠慮ください。」に、思わず「屋根くらい作ってよ!」と突っ込みたくなるくらいの激しい雨、薄手のポンチョでは、その役割を果たすことは難しい、結局、ポンチョを剥ぎ取り、ビショ濡れになりながら手を挙げ大声でコールするサポーターが多く見られたホームゴール裏。
少数精鋭ながらもスタンド中に彼らの声援は響き渡る。
ピッチからの距離が近く観戦しやすいと評判のニッパツだが、その臨場感はゴール裏でも体感することができる。選手のボディーコンタクトやスパイクが削る音、選手同士が掛け合う声、その迫力はニッパツならではの醍醐味だ。選手でないと知る由もないが、サポーターの声援や罵声に至るまで、他会場以上に選手の耳に届いているに違いない。
最悪のピッチコンディションの中、球際に激しいプレーでファイトする選手に、普段以上にゴール裏が沸いてるように見えたのは、気のせいではないだろう。選手を後押ししているのは、間違いない、熱狂的なサポーターの声援なんだということを改めて実感した。
▼平日のアウェイにも関わらず多勢のセレッソサポが駆けつけた。
一方、アウェイにもかかわらず多勢を引き連れてニッパツに乗り込んだセレッソサポ。FCサポと比べると平均年齢がひと回り以上離れているのではないかと思うほど若く、とにかく威勢がいい。セレ女と言われる女性サポも、豪雨にも負けず、元気に飛び跳ねていた姿が印象的だった。ピンクに染められたアウェイゴール裏は、ほぼ満席。リズミカルなチャントで選手を後押しする。
山口螢、扇原、玉田、田代、関口ら、新旧日本代表選手が多く在籍するC大阪。多くの女性サポーターのお目当ては、彼ら人気選手だということはおそらく間違っていないとは思うが、実際に彼女らの声援に耳を傾けてみると、彼女たちが本物のサポーターだということに気づかされる。なぜなら、彼女たちこそがチームの勝利を渇望しているからだ。
豪雨の中のスコアレスドローなんて、観戦が目的のファンには、おそらくつまらない試合に映ってたであろうが、サポーターにとってみれば、これほど楽しい試合はないのかもしれない。サポーター同士の結束、選手との一体感。苦境に身を置かないと味わうことのできない体験は、さらにサポーターを熱狂させ、チームは強くなるのだ。
豪雨とスコアレスドローとゴール裏で、感じたことは概ねこんなことだった。
勝村大輔