IAIスタジアム日本平(通称:アイスタ)にやってきた。まず驚いたのは、傾斜のきついゴール裏、二階構造になっているあまりに巨大なサポーター席だ。エスパルスサポーターで埋め尽くされたサポーター専用スタンドは、オレンジ一色の巨大な壁となり選手を後押しするに違いない。
▼アイスタに出現したオレンジの壁
次に驚いたのは、スタジアムグルメ(通称:スタグル)のハンパない充実感だ。とにかくお店の数が多いし、種類も多い。もつカレーや桜エビのかき揚げなど、静岡名物も随所に取り揃えている辺りに、遠方から駆けつけたアウェイサポーターへの歓迎ムードを感じることができる。
▼充実の”スタグル”に舌鼓
アイスタの素晴らしさは、観戦のしやすさだけではない、これだけ両サポーター同士が入り混じる光景は、トラブル回避に努める他会場では考えられない、まるでW杯のようなピースな雰囲気を感じることができる。
ところが、一旦スタンドに足を踏み入れると様相は一変する。エスパルスのサポータースタンドは、ピリピリとした臨戦モードに包まれていた。それもそのはずである、エスパルスにとって今節は、絶対に負けられない戦いだからだ。戦績不振により辞任した大榎監督に代わる田坂新監督の初陣。その采配に注目は集まった。
J1 2nd 第6節 清水エスパルスvs湘南ベルマーレ(IAIスタジアム日本平)
▼田坂新監督の初陣!
慎重な試合運びを見せる清水に対し、いつも通りの走力で掻き回す湘南、先制ゴールは8分、ディフェンスの連携ミスからオウンゴールを献上。湘南に先制を許してしまう。後半に入り清水は、前線の大前、ピーター・ウタカ、チョン・テセを中心に猛攻を仕掛ける。こうして迎えた61分、大前の鮮やかなアウトサイドにかけたダイレクトボレーが決まり同点に追いつく。その後、清水優勢の試合展開が続くが、77分に、セットプレーのこぼれ球を島村に押し込まれ万事休す。守の安定感を欠いた清水が痛すぎる敗戦を喫した。
▼戦々恐々のサポータースタンド
集中力を欠いた試合展開にサポーターのフラストレーションは爆発。子連れの多いスタンドに似つかわしくない怒号が彼方此方から聞こえてくる。彼らを掻き立てるのは、まぎれもない、焦燥感に違いない。スタンドに貼られている横断幕に書かれている”J1残留”への強いこだわりがそれを証明している。この試合の敗戦により、年間順位を最下位に落とした清水は今、クラブ史上初のJ2降格の危機に直面しているのだ。
世代を超えた多勢のサポーター、見事に統率のとれた大声援、サッカー王国のプライドは、ボクの想像を遥かに超えていた。素晴らしきアイスタが、来年もJ1の舞台であり続けることを願わずにはいられない。
勝村大輔