サッカー馬鹿

2016.10.7

劇的勝利をどう見るか。今こそチャレンジャーとしての気迫を。【ロシアW杯アジア最終予選 日本vsイラク】

ロシアW杯アジア最終予選 日本代表2-1イラク代表 (埼玉スタジアム)

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劇的勝利の後味はたいていほろ苦いものだ。試合終了間際の山口蛍の豪快ミドルに沸いた昨夜の歓喜は、とっくにピークが過ぎ去り、それと同時に苦戦の要因を追及する厳しい視線が送られる。それもそのはずである。重要なのはいっだって次だからだ。その厳しい視線は当然ハリルホジッチ監督一点に注がれる。追及の矛先はこの2点に集約されている。(1)選手起用について。(2)采配について。

選手起用の問題に関しては今に始まったことではない。レギュラーの殆どが欧州組で構成される現日本代表は、ある意味、その各選手のパフォーマンス、コンディションに委ねる他ない。中でもこれまで代表の中心を担ってきた本田や香川、岡崎、長友、吉田が所属チームでの出場機会に恵まれてはいないことや、移動などを含む過密スケジュールのリスクは思いの外重い。

不調の香川を外しトップ下に清武を起用したことや出場機会に恵まれている酒井高徳、宏樹を起用し続けていること。これまで通りキャプテンの長谷部や本田には絶大な信頼を置いてること。選手のやり繰りには最新の注意を払っているのも分からなくはない。しかし、彼らのパフォーマンスに不満を感じているサポーターも少なくない。結果、劇的勝利の舞台には香川、本田、岡崎の姿はなかった。この意味は今後の戦い方に影響を与えることになるだろう。

今更ながら、なぜコンディションの整っている国内組の起用はないのだろうか。なぜ調子の悪い選手を起用し続けるのだろうか。長期間を準備に費やしている相手に対して、これまで頑なだったこだわりはもはや通用しない。これが今突きつけられている現実なのだ。

こだわりが捨てきれないのは、采配にも影響を及ぼしている。就任以来、デュエル(一対一への勝負強さ)の重要性を訴えてきたハリルホジッチ監督だが、そのこだわりに選手が窮屈さを覚え、日本本来の個性を消してしまっている。前任のザッケローニと比べても仕方がないが、フィジカルに劣る弱点をスピードとスタミナで補う華麗なパスサッカーを観るのに慣れている我々にとってみれば、不満を感じて当然だと思う。残念ながら日本サッカーは、ハリルホジッチが望むレベルにはまだ達していないのだ。

結局、センターバックの吉田を前線に置きパワープレーに終始した終盤の戦い方をするハメになるのであれば、今こそそのこだわりを捨てるタイミングではないだろうか。屈強な相手に真っ向勝負を挑むのではなく、持ち前のスピードとスタミナで数的優位を作り出す。そのためにも先ずは選手に自由を与えるべき。そう主張する識者の見解も頷ける。

負けたら終わりを意味するホームでのイラク戦に勝利し、最高の気概を持ってアウェイ、オーストラリア戦に臨むことになった我らが日本代表。リーグ最強の敵に挑むハリルホジッチ監督の決断はどうピッチ上に反映されるだろうか。

いずれにしても、今は彼らを信じる他ない。中4日で行われる次戦は満身創痍の気迫の戦いになるだろう。気持ちでは負けて欲しくはない。今こそチャレンジャーとしての気概を持って。

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