それを修行と励むか、趣味として楽しむか。下積みの要らない時代
「先輩の背中を追え」「技術は見て盗め」昔はホント上下関係が厳しかったなぁ。技術は見て覚えろと言われた記憶は確かにある。営業が終わる頃を見計らって、先輩を捕まえるなり「練習お願いします。」とよく頭も下げた。手取り足取り教えてくれた先輩たちのおかげで今のボクがあります。あの頃の先輩たちには本当にお世話になりました。
あれから数年後、「先輩が教えてくれないので」そんな不満を口にして面接に訪れた子がいた。自分の技術が至らないのは、先輩のせいだと言うのが、その子の言い分だそうだ。「見て覚えろ」と言われていた時代から、「教えてくれよ」と、まるで主張が入れ替わったような、そんな奇妙な錯覚に陥ったことがありました。
いずれにしても、プロへの道は、下積みなくてはあらず。という前提があることに変わりはありません。
ところが今はどうだろうか。「教えて下さい」と後輩から頼まれる先輩は、随分と減ったのではないでしょうか。「教えてやろうか」と言ったところで、「いいえ結構です」と、もし断られないのだとしたら、それは気を悪くさせないようにという後輩の気遣いかもしれません。
下積みが不要の時代になった。他人から教わるのではなく、自分から学ぶ。そんな時代へと移行しているような気がしてなりません。
【下積みが不要な時代】
うちのスタッフなんて、いつもスマホを眺めています。何をしてるのかというと、SNSをやっているか、動画を観ているのです。その動画を見て驚いた。カットの仕方や編み込みの仕方を動画から学んでいたのです。しかも、その動画が、めっちゃ分かりやすい。
仕事が好きな子は、誰からの指示がなくとも、積極的に動画を見て技術を学んでいます。やる気のある子は、俄然技術が向上し、やる気のない子はいつも人任せに考えている。コレが今の美容業界の現状です。
確かに資格がなければ仕事が出来ないのだから、学校へは通います。基本技術が身についていなければ先へは進めないので、学ぶべきところはしっかりと教わらなければなりません。その後は、あくまでも自分次第。自分次第で最速で最高の世界へと切り拓いていく。今はそんな時代なのだろうと思う。
その流れについていけない人は、すぐに学校を探したり、勉強会へと足を運びます。もちろんそれらを全て否定しているわけではありません。でも、それ要らんだろと思われる資格のために、うん10万円の受講料を支払おうとしている人もいます。それ、資格ビジネスの術中にハマってるって、て言いたいところですが、資格さえあれば何とかなる。資格ありきの時代なんてとっくに過ぎ去ってしまっているのにね。
【それは修行?それとも趣味?】
小説家やライターになりたければ、とにかく書くこと。映画監督や写真家になりたければ、とにかく撮ること。以前、師匠がこんなことを言っていました。スマホ1つあれば、幾らでもできる環境にあるということです。ネット上には、作品を発表する場もあるし、評価される仕組みもあります。
これを修行と呼ぶか、趣味と呼ぶかは、その人の気分次第。ただ、効率を考えた場合、楽しんでやっているに越したことはありませんよね。
好きでやっているのだから、夢中になり過ぎて時間も忘れてしまう。好きでやっているのだから、それを苦労とは思わない。そして、それを後押ししてくれるステージやテクノロジーがある。工夫次第で質は圧倒的に向上します。
その道を志した瞬間からプロ意識が芽生える。そこに辿り着いた時には、既にその道の一流になっている。好きなことがあることは、それだけで才能があることと同じこと。ボクたちはそんな時代に生きているんだということを改めて知りました。それではまた。