ブラジル終戦で訪れた、新時代の幕開け
ブラジル1-2ベルギー
ベルギーが強いのか、それともブラジルに運がなかったのか、勝利の女神はベルギーに微笑んだ。思い返せば前半開始早々、ネイマールのCKをチアゴ・シウヴァがヘッド。どフリーにもかかわらずシュートはポストを叩いてしまった場面があった。
チアゴ・シウヴァはルーズボールを追うことなく、ただ茫然と膝をついたままボールを見送った。このシーンを再度見返してみると、まるで神様から見放されたかのような、そんな姿にも映ってしまう。
たしかにブラジルには運がなかった。ネイマールやコウチーニョ、途中出場のドウグラス・コスタら左右中央から、打てども打てどもゴールネットを揺らすことはない。放ったシュートは27本、入ったのは試合終了間際に決めた意地の一発のみだった。
一方のベルギーは強かった。中央にルカク、右にデ・ブライネ、左にアザール、欧州トップリーグで活躍する彼らが繰り出す攻撃は破壊力抜群だ。先制点こそラッキーなオウンゴールだったものの、日本戦で魅せた超高速カウンターはブラジル相手でも十分に通用した。
圧巻のシーンは31分、ハーフライン付近からルカクがドルブルで仕掛けるとチーム全員がゴール方向に矢印を向ける。ルカクは相手に倒されながらも、右サイドをスピーディーに駆け上がるデ・ブライネにパスを送る。フリーでボールを受けたデ・ブライネがゴール左隅に狙いを定めシュートを放つ。低い高速の弾道がゴールに突き刺さる。
攻撃陣もさることながら、この日のベルギー守備陣は集中力を切らさなかった。ベルギーはブラジル戦に合わせて従来の3バックから4バックに変更、日本戦の勢いをそのままに途中出場だったフェライニとシャドリを引きつづき起用、GKクルトワの好セーブに助けられながらも、弱点と目されていた守備の再構築に成功した。
ベルギーには個のチカラと戦術が織り成すチーム力がある、そして彼らには勝者に値するスピリットがあった。ここまで全勝の赤い悪魔は無傷の頂まで登り詰めることができるのだろうか。次戦フランス戦は事実上の決勝戦と言われている。
ウルグアイ0-2フランス
伝統の高い守備力と最強ツートップのウルグアイが若いフランス相手にパワーでねじ伏せる。こんなシナリオを密かに望んでいた。昔からなぜか南米が欧州を覆すシーンを見るのが好きだった。かつてのトヨタカップで何度も熱狂したように、その懐かしさに浸るつもりだった。
ところが残念なことに、スアレスとともにツートップの一角を担っていたカバーニは、ポルトガル戦での負傷の影響で出場を見送られてしまう。代わりに入ったCストゥアニとのコンビでスアレスがフランスゴールに襲いかかるはずであった。しかし、スアレスはフランスの組織力の前に沈黙がつづいていた。
アルゼンチン戦で大活躍したニューヒローエムバペを筆頭に若さと勢いで勝ち上がってきたフランスだが、好調フランスの原動力はこれだけではない。最大の要因は相手のストロングを無力化させてしまう組織力に他ならない。
セットプレーからの先制ゴールと、グリーズマンのブレ球ミドルで追加点を挙げたフランスだが、終始手綱を緩めることなく統率のとれた組織力でウルグアイの攻撃をシャットアウトした。
高い組織力を個のアイデアとパワーでこじ開ける。そんなシーンが見たかった。ポルトガル戦で見せたスアレスとカバーニのダイナミックなワンツーフィニッシュは個人的には今大会ナンバーワンゴールだと思っている。果たしてベルギーの三枚看板、ルカク、デ・ブライネ、アザールを持ち前の組織力で封じ込めることが出来るのか。次戦ベルギー戦も見所満載だ。
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