サッカー馬鹿

2019.3.11

数的不利も走力で圧倒! 可能性を感じさせる敗戦に「清々しい気分」曹貴裁監督 〈明治安田生命J1 第3節 鹿島アントラーズ1-0湘南ベルマーレ〉

明治安田生命J1 第3節 鹿島1-0湘南(カシマサッカースタジアム/16.659人)
58分 安西 幸輝(鹿島)
 
非常に清々しい気分でいます。それだけファイティングスピリットを持って最後までやってくれたし、このチームの監督であることをすごく誇りに思いました。試合後の会見でこう語ったのは試合に敗れた湘南ベルマーレ曹貴裁(チョウ キジェ)監督だった。
 
それだけに前半45分、岡本 拓也が安西 幸輝を倒し退場処分(2枚目のイエロー)となったシーンが悔やまれる。
 
2019明治安田生命 J1リーグ 第3節、湘南ベルマーレはアジア王者鹿島アントラーズの本拠地カシマサッカースタジアムに乗り込んでの一戦。中2日で迎えた湘南はスタメンを3枚変更、CB中央は負傷離脱の坂 圭祐の代役にフレイレを起用、ボランチに菊地 俊介、シャドーに野田 隆之介を置いた。
 
試合は立ち上がりから湘南ペースで進む。セカンドボールの反応の速さに加え、球際の強さを発揮した湘南はボール奪取からゴールへ、攻守にわたり全員が連動していく。この連動性に一役買っていたのは前線でのキープ力が際立っていたフル出場を果たした山崎 凌吾だった。
 
印象的だったのは14分、右サイドに流れた山崎がボールを収め、ペナルティーエリアに侵入した武富 孝介へつなぐと、背後の野田へヒールで流す、さらに野田が後方から飛び出してきた菊池へつなぎ、最後は菊池が左足でコントロールショット。シュートはGKクォン・スンテに弾かれてしまうが、この日の湘南は持ち前の走力に加え精度の高い攻撃を披露していた。
 
岡本を欠いた湘南は武富がポジションを下げて対応するものの、数的不利で迎えた後半開始から鹿島の猛攻に遭う。
 
先制点を挙げたのは鹿島の方だった。58分、左オープンスペースを突いたレオシルバのフィードに、するするっとペナルティーエリアに駆け上がった安西がフリーでボールを収めと、シュートフェイントで武富をかわし、すぐさま右足を振り抜きゴールに突き刺す。レオシルバの巧みな横への揺さぶりに数的不利の湘南はわずかに及ばなかった。
 
前に行くしかない湘南は、59分に野田に代えて梅崎 司を投入。さらに71分に武富から3日前に行われたルヴァンカップ長崎戦でキレの良い動きを見せていた鈴木 冬一にスイッチ。梅崎が攻撃に推進力をもたらせば、鈴木は独特のボールタッチで攻撃にリズムを与える。
 
73分、右サイドから山崎が攻撃のスイッチを入れる。山崎が鈴木に当て、相手を引きつけた鈴木が菊池へつなぎ、走り込む山崎に菊池がダイレクトに落とす、山崎のシュートは惜しくも相手ディフェスに弾かれてしまうが、鈴木が攻撃にアクセントを加える。
 
さらに78分、右ワイドでボールを受けた鈴木は背後に相手を抱えながらもヒールで菊池に預け、体を反転させて再びボールを受けると、左足でミドルシュートを放つ。高卒ルーキーはリーグ戦の舞台でも大きなインパクトを残した。
 
残り15分からの湘南の逆襲は大いに可能性を含んでいた。さらに曹貴裁は82分にフレイレに代えて長身FW指宿をピッチに送り込む。CBを2枚に減らし最後の攻勢に打って出た湘南だったが敢え無くタイムアップを迎えた。
 
試合の半分を10人で戦うことを強いられた湘南だったが、逆を言えば、持ち前の走力を発揮した試合だったとも言える。ポジションの枠にとらわれず、それぞれが複数のポジションを卒なくこなしていく。全員攻撃全員守備の湘南スタイルは窮地に陥ればこそ能力を開花させていく。今後の戦いに大きな可能性を感じさせた鹿島戦だった。
 
(勝村 大輔)
 

(撮影:中野 潔)

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