サッカー馬鹿

2019.3.14

リベロ起用の秋野が2得点に絡む活躍 「新しいオプションができた」 曹監督 〈ルヴァンカップGS第2節 湘南2-0横浜FM〉

 

撮影:勝村 大輔

ルヴァンカップGS 第2節 湘南ベルマーレ2-0横浜Fマリノス(BMWスタジアム/8.260人)
32分 指宿 洋史(湘南)
78分 レレウ(湘南)

ルヴァンカップGS 第2節は昨年の決勝戦の再戦、湘南ベルマーレがホームに横浜Fマリノスを迎えての神奈川ダービーとなった。リーグ戦から中3日の湘南は前節の鹿島戦で退場処分を受け次節(リーグ戦)の欠場が決まっている岡本 拓也を除くスタメン10人が入れ替わるターンオーバーを採用。

GK富居 大樹、3バックは右に岡本、左に小野田 将人、中央はボランチ起用が多い秋野 央樹を置く驚きの采配。ダブルボランチは松田 天馬の相方にユース出身の17歳、柴田 壮介、右ウイングバックは古林 将太、左ウイングバックには前節、途中出場でインパクトを残した高卒ルーキー鈴木 冬一が入った。ワントップは指宿 洋史、2シャドーは大橋 祐紀と今季初出場の新外国人レレウを起用した。

テクニシャン秋野のリベロ起用の狙いは明確だった。

ディフェスラインをハイラインに保ち、圧倒的なポゼッションで攻勢に打って出る。アンジェ・ポステコグルー監督が提唱する”アタッキングフットボール”を体現する横浜FMに対し、湘南は終始、相手の浅いディフェスラインの背後を伺いつづける。この戦略の火付け役を担うのが秋野だ。

前線の3人がパスの出どころを追い、ダブルボランチの松田と柴田が攻撃の芽を摘む。そしてボール奪取から一気に相手ゴールへ矢印を向ける。攻撃にリズムを生み出していたのは秋野の左足から放たれる精度の高いロングフィードだった。

この日生まれたふたつの得点シーンはいずれも秋野が起点になった。32分 秋野のロングフィードが左ワイドの鈴木に収まると、そのままペナルティーエリアに侵入、対峙するディフェンダーとの駆け引きからタイミングを見計らって中央へグラウンダーのクロスを送ると、後方から飛び込んできた指宿が押し込み先制点を奪うと、78分にはレレウからセンターサークル付近でボールを受けた秋野がすかさずディフェスラインの背後にスルーパス。オフサイドラインを抜け出したレレウがそのままドリブルで持ち込み相手GKとの間合いを測り、鮮やかなループシュートを決めた。レレウは今季初出場にして初ゴールとなった。

2得点を生み出した秋野に関して曹貴裁監督は「非常にセンスがある選手、球出しのコントロールも含めて、前半は特に、彼の配球から良いチャンスを掴めてましたし、新しいオプションができたなという気持ちでいます。」と賞賛を送った。

この日、曹監督が賛辞を送ったのは秋野だけではなかった。「U-21の選手を一人使うというルヴァンカップのルールがありますが、そのルールがなくてもおそらく今日、柴田と鈴木冬一は十分このピッチに立つ資格があると思って使いました。二人とも堂々と自分たちの良さを出すだけでなく、チームが勝つ責任をしっかり負ってプレーしてくれたと思います。」

とりわけ存在感を見せていたのは先制点のアシストを記録したこの試合のMOM鈴木 冬一だ。「ボールをもらった時には仕掛けるということがまず頭に浮かんで、仕掛けたあとにシュートにいこうかパスをしようか迷ったんですけど、上がってきてるのが見えたのでああやって点に繋がるアシストができてよかったです。」と先制の場面を振り返った鈴木 冬一だが、果敢にドリブルを仕掛けるだけでなく、ワンプレーで攻撃にアクセントをつけることもできる技巧派ウイングバックは、杉岡 大暉の投入から逆サイドでのプレー、両サイドとも卒なくこなすことができる器量を持ち合わせている。

試合は後半、横浜FMに押し込まれる時間帯が長かった湘南だが、持ち前の粘り強い守備で相手の攻撃をシャットアウト。この日ピッチに送り込んだ新戦力の台頭に「新しい選手戦力がたくさん生まれて、監督としてはメンバーを選ぶのにこれで難しくなった。」と曹監督は目を細めていた。

(勝村 大輔)

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