しかしここから湘南の反撃は始まる。2点のビハインドで迎えた54分、前線から果敢にプレスに駆け回る湘南は右サイドの混戦から抜け出した山口がペナルティエリアに侵入を試みると荒野 拓馬が思わず倒してしまいPK獲得に成功する。ところが、このPKを杉岡が外してしまう。
このPKに関して曹監督は「杉岡は公式戦で初めてPKを外しましたが、蹴らなければいけない選手がほかにいたなと僕の中で思っている。」と意味深なコメントを残している。
追い込まれた湘南は60分、曹監督は最後のカードを切る。中川 寛斗に代えて野田 隆之介を投入。攻撃のギアを上げた湘南はその直後にフリーでボールを収めた松田がミドルシュートを放つ。このシュートは惜しくもクロスバーを弾いてしまったが、PK失敗後に包まれていた重い空気を一変させた。
その後オープンな展開がつづいたが、71分、湘南がまたもや一瞬の隙を伺う。早いリスタートからボールを受けた菊地が右へ展開、すかさず山根がグラウンダーのクロスを送る。クロスはディフェンスをすり抜けファーサイドの野田がシュートを打つも当たらない。鋭い嗅覚でこぼれ球に反応した菊地がゴールに押し込み湘南が1点を返す。「点をとること、逆転することだけを考えていた。」(菊地)
勢いを増した湘南は71分に山口、75分に山根が決定機を迎えるも得点には至らない。「ビッグチャンスが2回もあった中で決められないというのは、今の僕の実力」(山口)
試合はこのままタイムアップを迎えるかと思われた後半アディショナルタイム2分、右サイドから秋野がクロスを放り込むと、ボールはディフェンスの頭をかすめファーサイドに流れる。このボールに反応した杉岡がスライディングで折り返すと最後は野田が押し込み湘南が土壇場で同点に追いつく。
しかし反撃もここまで。最後まで諦めずに戦い抜いた湘南だが、昨季王者は早々に大会を去った。
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