試合後、選手を出迎えたのは大歓声ではない。大ブーイングだった…。
1stステージを終え16位、降格圏に低迷するモンテディオ山形を迎えての2ndステージ開幕戦。
J1 2ndステージ 第1節 横浜FMvsM山形(日産スタジアム)
▼ホーム開幕戦、勝利を渇望するゴール裏サポーター
横浜FMの先発には、負傷明けの中村俊輔が復帰、キャプテンマークを巻きボランチの位置に入る。その横に若手の喜田、トップ下に三門、前線は、3トップ気味に左から斉藤学、伊藤翔、アデミウソンが並んだ。
相変わらずの試行錯誤が続くモンバエルツ監督は、中村俊輔を後方で起用し、トップ下に豊富な運動量が持ち味の三門を選択。12分に斉藤学が先制ゴールを決めるなど、序盤こそ試合を支配するが、前半45分に一瞬の隙を突かれ宮阪に同点弾を叩き込まれる。その後は低調な試合運びに終始し結局試合は1ー1、引き分けに終わった。
サポーターの怒りの矛先はいくつか考えられる。一つ目は、決定機を見せることがなかった中村俊輔の不調だ。しかし、後方でのゲームメイクに終始してしまう原因は、何も中村だけにあったわけではない。動き出しの少ない伊藤と足元で欲しがるアデミウソンが前線を停滞させてしまい、ドリブルで仕掛ける斉藤の動きも相手に脅威を与えるまでには至らない。そもそも中村のポジション自体に問題があったのではないか。そう思わせる展開となってしまった。
二つ目は、選手交代である。勝ち越しを目指す横浜FMは、71分に中村を諦め、前目のポジションに兵藤を投入、79分には、三門に代えて端戸を投入、モンバエルツ監督は、前線に4人を並べて猛攻を仕掛けるが、結局、攻撃を活性化することは出来なかった。
そして、三つ目はチームに向けてだ。この日は2ndステージ開幕戦、しかもホームでの開幕戦である。勝利を渇望するサポーターの目に、選手の闘争心は映らなかったに違いない。
闘争心剥き出しにファイトしたのは、むしろ敵地に乗り込んできた山形の方だったのではないだろうか。逆転弾にこそ至らなかったが、山形の執念は、一つ一つのプレーに現れていた。遠方にもかかわらず、この日の日産スタジアムには、多くの山形サポーターが駆けつけていた。数こそ少ないが、鳴り止むことのない彼らの声援は、確実に選手を鼓舞していたであろう。崖っぷちから這い上がろうと必死の相手に、小手先のシステム変更に終始した横浜FM。両者の対照的な闘争心は、スコア以上にサポーターの心に響いたのではないだろうか。
勝村大輔