サッカー馬鹿

2017.1.13

振り返れば・・・それは英断だったと語り継がれる。2016年のJリーグ

振り返れば・・・それは英断だったと語り継がれる【2016年のJリーグ】

最後のチャンピオンシップを制したのは鹿島アントラーズだった。

鹿島アントラーズの優勝で幕を閉じた2016年J1。1stステージをわずか1ポイント差で川崎に競り勝ち優勝を果たすも、続く2ndステージでは戦績は振るわず11位に低迷。1stステージで貯めた貯金を切り崩し辛うじてチャンピオンシップ進出を決めた。その大舞台で伝統の勝負強さを発揮した鹿島が、2位川崎、首位浦和を次々に降ろし見事下剋上を果たした。

 鹿島の勝負強さが際立った。そんな印象も残れば、年間勝ち点1位の浦和が積み上げた3位鹿島との15ポイントの差は一体何だったのだろうか。一方で感じたやり場の無い無念さ。その背景にあった2シーズン制は2016年を最後にその役目を終える。

 昨季で終わりを告げたのはこれだけではない。これまで長きに渡りJリーグの試合中継を担ってきたスカパーとの契約解除。それに伴いJリーグはイギリスの大手動画配信パフォームグループと2100億円にも上る放映権独占契約を結んだ。景気の良い話と湧く世間とは他所に、馴染み深い解説陣が揃うスカパーとの決別はファン、サポーターにとっては名残惜しいことだろう。

最新鋭の機能を兼ね備えた吹田スタジアム

 同年2月14日G大阪の新スタジアム、吹田スタジアムのこけら落としが行われた。32000人収容の最新鋭の設備を兼ね備えたサッカー専用スタジアムの出現。そして建設費の大部分を寄付金で賄えたというエピソードは、サッカー界を越えて多大なインパクトを与えた。

 ピッチとの距離やスタンドの勾配、巨大な屋根に囲まれるヨーロッパサッカーさながらのスタジアム観戦の醍醐味を演出する吹田スタジアムは、国内のみならず日本代表戦やCWC(クラブ・ワールドカップ)を通じて国際的なアピールにも成功。G大阪は観客動員数をリーグ2位にまで登り詰めた。結果的に吹田スタジアムは、観客動員に苦しむJリーグの一助となったわけだが、その効果は数字だけには止まらない。改めてサッカー専用スタジアムの必要性を唱える問題提起にもなった。

2014年完成した最新鋭の”スマートスタジアム” NFL 49er’sの本拠地「リーバイススタジアム」

上に並べた3つの出来事がもたらすこと、それは今後のJリーグを変える大きな転機となるであろう。まずは1シーズン制の復活だ。最大の理由は日程面の限界と廃止の理由を語った村井チェアマンだが、商業的な成果は想定を超えることはなかったと認めた。しかしコメントの一部に含まれていたファン、サポーターそして選手の意見を取り入れたという一文からは、(量)商業主義から(質)サッカーの魅力への転換という意味が含まれる。

1シーズン制への回帰、そして吹田スタジアムが高めたサッカー観戦の魅力。そこに追従するのが来季から始まるDAZNによるサッカー中継である。テレビからインターネットへ媒体が変わると共に、その流れは確実にスタジアムのスマート化 を促進する。Wi-Fiが完備されたスタジアムからサッカーの魅力がSNSによって世界中に拡散する。これから訪れる新しいサッカー文化の主役は選手でありサポーターなのだ。

振り返れば英断であった。Jリーグにとって2016年はそういう年であったような気がしてならない。

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