新生横浜Fマリノスの若き可能性を目撃した。
Jリーグ2017開幕戦 横浜Fマリノス3-2浦和レッズ
Jリーグ2017シーズンが開幕した。数ある対戦カードの中から選んだのは、横浜Fマリノスvs浦和レッズ 昨シーズン観戦した最終節と同じカードを選んだ。その理由は、チーム状況の変化を目の当たりにすることができるからだ。
昨シーズン、年間勝ち点首位で終えた浦和は、これまでに培ってきたベースをそのままに、更に選手層に厚みを持たせることで戦力の充実を図る。補強の意図は明確だ。この日、開幕戦のスタメンに名を連ねた中で、新加入の選手は新潟から獲得したラファエル・シルバただ1人だった。
一方の横浜FMは、ベンチ入りメンバーを含めると実に5名もの新加入選手が名を連ねる。中でも注目すべき点は、新加入の選手をはじめこの日ベンチ入りしたメンバーの年齢が極めて若いということだ。レジェンド中村俊輔が去り、26歳の齋藤学に主将を託す。一新した若いチームが、王者相手にどんな戦いを見せてくれるのか。注目が集まった。
この日の横浜FMは、良くも悪くも若さに溢れていた。失ったボールを果敢に追い回し、奪ったボールを最短距離でゴール前に運ぶ。攻守の切り替えが見違えるほど早い。スピードのある齋藤学とマルティノスを中心に幾度となく浦和ゴールを脅かし続けた。
先制ゴールも決勝ゴールも、一瞬で相手を置き去りにする齋藤学のドリブル突破から生まれた。ペナルティーエリア中央に切り込むと見せかけて相手を引き寄せ、ゴール前中央のフリーの選手にパスを供給する。いずれのゴールもまったく同じ形だった。分かっているのに止められない。この日の齋藤学はキレ味は驚異的だった。
ラファエル・シルバの個人技で同点に追いつかれた横浜FMは、その2分後に、またしてもラファエル・シルバに背後を取られ逆転ゴールを許してしまう。後方から次々と選手が飛び出してくる浦和のサッカーに、たじろぐ場面も数多く見られた。浦和の巧さもさることながら、対応力に課題を残す。若さゆえに陥る焦燥感も拭えない。
いずれにしても、この日の横浜FMには圧倒的な躍動感があった。リーグが進むにつれて更に連携が深まり、この試合こそベンチに控えていた若い選手が次々と台頭する。優勝候補相手に開幕戦を飾った横浜FMが今、勢いに乗ろうとしている。モンバエルツ監督の集大成が今季、目撃できるかもしれない。この勝利が与えたインパクトは計り知れない。