サッカー馬鹿

2017.6.23

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今そこにあるサッカーを愛せ!サッカー本大賞優秀作品賞受賞 KFG蹴球文化論 <錦糸町フットボール義勇軍 独占インタビュー vol.1〉

今そこにあるサッカーを愛せ!サッカー本大賞優秀作品賞受賞 KFG蹴球文化論 <錦糸町フットボール義勇軍 独占インタビュー vol.1〉

錦糸町フットボール義勇軍 (中央)ロック総統(左)オットナー参謀長(右)ライト曹長

過激な論調でネット上を賑わしているレジスタンス集団がいる。彼らは自らを錦糸町フットボール義勇軍と名乗る。

錦糸町フットボール義勇軍を率いるのは、赤いヘルメットを被り、ティアドロップのサングラスと赤いタオルマフラーで顔を覆う、何とも怪しい風貌のロック総統。そしてロック総統が従えるのは、ライト曹長とオットナー参謀長である。

時にSNS上で、時にポッドキャストで、時に全国各地のサッカースタジアムに乗り込み、Jリーグ原理主義者と罵り、日本サッカー真の発展を声高に叫ぶ。一見突飛押しのない主張に受け止められがちだが、彼らの主義主張は実に的を得ている。

「今そこにあるサッカーを愛せ!」核心を突くメッセージをユーモアたっぷりに発信する蹴球革命は、瞬く間に全国を席巻し、全国各地に信奉者を生み出すことになる。そして遂に彼らの想いは結実した。

著書『KFG蹴球文化論』サッカー本大賞2017優秀作品賞受賞を皮切りに、ラジオNIKKEIでレギュラー番組『蹴球革命ラヂヲ』を配信。そして、雑誌『フットボール批評』で連載を開始。

今回のインタビューでは、彼らの軽快なトークを漏れなくお届けすべく、ほぼノーカット状態で2話に渡って配信する。

錦糸町フットボール義勇軍とは、

ロック総統

(総統) 真のフットボール革命の指導者、ロック総統である。

(曹長) ライト曹長であります。

(参謀長) オットナー参謀長である。

(曹長) 我々はロック総統の忠実なる下僕、ロック総統が推し進めるフットボール革命の思想、信条、行動力に心酔しまして活動している次第であります。

オットナー参謀長は、我々が子供なので、ひとり大人がいないと回らないということでオットナー。彼は策略に長けてらっしゃるので、彼のハンドルによって我々鉄砲玉を支えているという、

(総統) 鉄砲玉なの?
(曹長) そうですね。
(参謀長) なぜ、ロック総統がロックなのかというと、応援してるチームが、
(総統) ホンダロックだから。ご存知かしら?

※ホンダロックSC=宮崎県宮崎市を本拠地とする社会人サッカークラブ(実業団)

 

――それは知ってますけど。ロック総統はいつも鍵の形のギターらしきものを持ってますよね?それがロックという意味なのかと。

(総統) いやいや。それはあと後付けでね。いわゆる、Jリーグに上がる人間をロック(LOCK)するという意味と、ちょっと変わったことしているロック(ROCK)スターという意味もあります。

 

――そもそも錦糸町フットボール義勇軍って何ですか?

(総統) 錦糸町フットボール義勇軍とは、一言で言うと、蹴球文化を革命したい、変えていきたいということなんだけど。

(曹長) 現状のサッカー文化を憂いてらっしゃるわけですよね。

(総統) 私もサッカーに携わってきてもう25年ほど経つけど、サッカーが衰退していくのをひしひしと感じていて、チームは増えてるけど、サッカーの熱も、周りの関心も、どんどん縮小している気がしている。

まあ、サッカーに対しては非常に感謝しているところが多いので、サッカーが衰退していることが自分のことのように悲しいところがある。

私がサッカー好きって言ってるのは、たかだか25年前で、Jリーグが始まってから応援し始めたんだけど、そういった意味においては、Jリーグは好きなんですよ。

だけれども「Jリーグが好き」という大前提が、いつしやこの25年間で「勝たなきゃダメ」という風に、すり変わってる気がするんですよ。J1を目指さないチームに価値はない、面白くないとか言ってる奴らが多い。

(曹長) 弱いからつまんないとか、見る価値がないとか、そんなチーム応援して何になるのって。

(総統) あと、バルセロナとかバイエルンとかミランとか、「俺。海外しか観ないからさ〜」とか。海外の観ちゃうと日本のサッカーなんて観れないよね〜とか言う奴とか。そういうのって、ちょっと違うんじゃないかな。

(曹長) 私はどっちかというとそっち側だったんですよ。でも総統と出会って変わった。総統にはサッカーに対して色々な見方があるので。

(総統) 例えば野球観てると、日本の野球ファンって、「プロ野球観るけど、高校野球観ねえよ」って奴。

高校野球も結局、ダブルプレーとれなかったとか、ポロっと落球したりとか、随所にあるじゃないですか。1年生のピッチャーがボコスカ打たれて、先輩すいませんとかいう奴がいたりして。それも含めて、しょうがねぇな〜1年だから、来年また目指せよみたいな。そんな風にして楽しんでるじゃないですか。

そういう感覚が日本人にはあるのに、ことサッカーに関しては、バイエルンがサイコー、ミランがサイコー、日本のJリーグはダメ。Jリーグ観てる奴らはレベルが低い、地域リーグなんか観ねーよ、Jリーグを目指さないんだったら観ねーよ、という考え方になるのか疑問でね。そういう奴らがサッカー知ってんのかというと、実はあまり知らない。

私が応援しているのは、JFLのクラブで決して強くない。この前なんか、結成以来、初めてJFLで4位になったんだけど、もうお祭り騒ぎですよ。勝ったも同然だとか、うちのクラブがこんなに強くなったとか言ってるんですよ。だけど、終わった後に、来年はそうは上手くいかねーべとか、何となく分かっていて。そういう考え方のサッカーファンって少ないでしょ?

※JFL=日本フットボールリーグ(プロ化を考慮していないアマチュアチーム(企業や大学のサッカー部、ならびに地域のアマチュアクラブチーム)にとっては、唯一の全国リーグであり、最高峰のカテゴリーである。)

それでもたまにはJリーグも観に行くじゃないですか。弱いクラブがありました。連敗してます。そしたら、「オメェ、やる気あんのか」とか「アイツ代えろ」って罵声が飛び交い、バスを囲む。ザラザラした気持ちで帰んなくちゃならいけないじゃないですか。それをボクはJリーグ原理主義者だと言っている。

それがサッカーの魅力を狭めている最大の悪、Jリーグ目指さなきゃとか、勝たなきゃとか、そこにしか価値を求めていない人が多過ぎる。そこが私はよろしくないと感じている。

ライト曹長

(曹長) 私も以前はそれ以外の価値を知らなかったので、総統が体現するユーモアや自虐も含めて、偉い人が言ってないからこそ響く手法で。そこに私はえらく感銘を受けまして。今そこにあるサッカーを愛せない奴らに、世界中で愛されてるサッカーの魅力なんてわかるわけないじゃないか。そういった総統の考え方に「ウオォォ」って思って。

私の経験なんですけど、私は栃木出身で栃木SCを応援してるんですが、柏とトレーニングマッチをやった時、柏の奴が、栃木が弱いからってバカにするわけなんですよね。それって何なんだろうって思うんですよ。

じゃあ俺マンチェスター・ユナイテッドのファンでもあるんだよって言ったら、お前バカにしていいのかみたいな。そんな身の置き方、考え方次第でひっくり返っちゃうような価値観。

「何それ?」「しょうもな!」バカにするって、それが面白いやり取りだったらいいんですよ。でも人種差別みたいなノリになっちゃったり、そういう人がいることで、スタジアムに行きにくくなってる人がいたりとか、サッカーしょうもな!と思う人が出てきている。それもJリーグが満員にならない原因。

(総統) 自称コアサポが、自分がサッカー引っ張ってみたいな自負があると、尚更ややこしくなる。そこが遠ざけてる原因なのに。その人たちが気付いてないから、ライト目線に降りてお話しできないの。ボクは、コアサポを激しい論調で攻めることもありますけど、それは、コアサポたちにものを言える人がいなくなっちゃってるから。

※コアサポ=サポーターの中でも中心的なグループを指す語

日本サッカーはJリーグだけじゃない。縦に深く、横にも広く、芳醇であるべき。

オットナー参謀長

――ロック総統は元々はアントラーズのサポーターだったんですよね。Jリーグ創世記からの。

(総統) なんてことはないんですよ。当時仲良くなった人がいて、その人がチケットあげるからおいでって。当時はJリーグチケットなんてプレミアですからね。ゴール裏でも2万、3万で売れたりとか。ですよね参謀長?

(参謀長) そうですよ。

(総統) 参謀長はヴェルディのコアサポで、私はアントラーズのコアサポだった。あのチケットってホントプレミアだったんですよ。今でこそダフ屋さん少なくなりましたけど、昔はダフ屋がサッカー場の周りは一杯あって。そういう時代だったんですよ。

そういうコアな奴らがずっと引っ張ってきて、自分たちは25年間変わらない目線で見てるかもしれないけど、新しく入ってくる奴らを取り込まなきゃいけないのに、お前ら跳ねないと殺すぞみたいな。

そういうノリでね、今でも引っ張っていけるのかと思ったら、そりゃあ大間違いですよ。おごりです。それで、バス囲んで、選手出せ、監督出せなんて、おごりの最たるものです。もっと別の価値に気づいて欲しい。筋肉バカやサポバカは、気づきやしないけどね。

(参謀長) Jリーグ原理主義者という言葉を作ったのは総統だけど、「Jリーグはダメ、JFL以下は良い」という意味では無い。Jリーグの良いところもたくさん知ってるし、総統も参謀長もJリーグで育ってきた人間だから。だけど、25年前の人がそのまんまスタジアムに来続けてるだけで、20代30代がどんどん減ってる。それが今Jリーグが抱えてる大きな問題。2010年くらいからずっと言われていること。

このまま放置しても、一向に右肩上がりなんて来ない。それをJリーグもファン・サポーターも認めて、もっと敷居を低くしないと。90年代に作ったJリーグのサポーター文化、つまり、オラオラして、オリャーとか言ったりして。それをぶっ壊すのは、Jリーグがすべきこと。

チーム数ばかり増やしていって、Jリーグ年間入場者数はこんなに増えましたって誤魔化し数字を出していてもしょうがない。そりゃあチーム数が10から50に増えればさ、合計は増えるけど、一つ一つのチームはすごく小ちゃくなってるんだし。

この現実をどう変えてくか。まずは下部リーグを隆盛させる。つまり、Jリーグじゃなきゃ応援しないとか、Jリーグサポーターのような応援がサポーターであるみたいな。作られたイメージを全部ぶっ壊していこうって。

Jリーグを応援する楽しさは十分20代30代で味わったから、こっから先は、この痩せ細ってくJリーグ、日本代表を含む日本サッカーを止めることだけじゃなく、隆盛させるためには、やっぱり4部でしょ、5部でしょ、日本サッカーは縦にも深く、横にも広く芳醇であるっていうのをやろうって。

(総統) 鹿島では何度も優勝してるし、サポーターとして優勝することも別に欲しくないし。

(参謀長) 大してカタルシスないですよ。J1リーグ優勝して、選手がトロフィー掲げて、それをゴール裏でワーッとやって、実はそんなにない。だからお前らが憧れるほどJ1面白くねーよって。

(総統) まあそう言っちゃうと上から目線になるのかもしれないけど、実際そうなんですよ。そりゃ選手はね、生活かかってるし、一生懸命応援すればいいんですけど。だけど、チームが強かろうが弱かろうが、愛するチームが今そこにあればすごく幸せなのに、そこの価値観に気付いてない人が本当に多くて。

(曹長) 運動会の徒競走で、我が子がビリになって、明日からもう愛せねーやって言わないじゃないですか。

(総統) そこがね〜、やっぱり1億総コアと1億総にわか、なんですよ。愛し方がわかってない。

――そこに気づいたのは、ホンダロックのサポーターになってからですか?

(総統) ですね。私は世界中周っていたので、世界のサッカーシーンも見れたんですよ。デンマークの片田舎のホテルでテレビ観てたら、デンマーク代表が勝ちました。そこは静かな田舎町なんですけど。表がザワザワザワしてるなぁと思って、バッと見たら、みんな顔を赤と白に塗って、街の噴水の前に集まってきて。ダンダンダダダンって始まって。えー、こんな静かな街なのにって。確かユーロ96の時だと思うんですけどね。

あー、これがヨーロッパのサッカーなのかと思ったのも一つだし。あとイングランドの4部を観に行った時、4部なのに自前のスタジアムでね。それこそ床にまでエンブレムが描かれていて。

その時出会ったサポーターに、一応社交辞令で、「プレミア行けるといいですね〜」って言ったらね、いやいやうちはそんなクラブじゃないから。うちは4部でいいんだよって。この前3部に上がっら酷い目にあってって、ゲラゲラ笑いながらそんな話をして。そうなんだ、そんな文化もあるんだなぁって。

(参謀長) その頃の話は、総統が20代の話で、その時はまあそんなもんかって感じで、のちにアントラーズのサポーターを辞めて、ホンダロックの社員になるんですけど、実業団を応援するサポーターになった時に、段々こう一致してくるわけですよ。その世界観と。日本の3部も4部もサッカーだし、それを応援する面白さに気づいていくわけですよ。

(総統) ホンダロックは実業団としても特殊で、当時も今もそうですけど、全員アマチュアなんですよ。実業団といえば、午前中仕事して午後はサッカーするという、いわゆるセミプロが多い中で、ホンダロックは全員アマチュアなんです。でもやっぱりサッカー部も強くないといけないだろうということで、地元の高校とか大学いった奴を引っ張ってきたり、プロ辞めた奴を引っ張ってきたりとか、その年代の宮崎選抜なんですよ。これこそが地域密着なんじゃないかと。

これがJリーグを目指し始めると、やれ東京から選手が来て、やれ鹿児島から選手が来て、コイツ見たことねー、コイツ知らねーって。監督もコーチも全部生え抜きで、みんな顔知ってて、あいつハンパねーな、コイツうめーなって、みんながわかってるクラブ。これがJリーグだなって。

Jリーグがやってる地域密着なんて、箱だけが九州リーグだなって。でもいざJリーグ目指し始めると、なんで、いわゆる私の知ってるJリーグになってしまうんだろう。Jリーグを目指さなくてもいいチームがあるじゃんっていうのが、気づきですよね。

 

――ということは、J3が発足することに対して総統は反対だった。

(総統) 反対というよりは、まだ早えーべっていう感じ。JFLが流行っていて、そこにJリーグ予備軍がウジャウジャいるから、これならJ3があってもいいよねっていう雰囲気があって作ったわけでもなく、逆にJ2でやれないから、落ちてく奴に対しての受け皿な感じで作った側面があって、じゃあJ3やるけど参加したい人だれ〜?って言ったら、オレもオレもオレもみたいな感じで出てきちゃったけど、じゃあJ3にいってだれが経営できてんの?JFLと変わんないよね。

持ち出しだけ多くなっちゃってるんじゃない?と思ってはいる。ただ今は過渡期だから。しょうがない部分もあるけれども、ただ、みんながみんなしょうがねーって言ってたら成長がない。

(参謀長) なし崩し的に2部が出来て、3部が出来て、ただただ形だけ広がって中身は全然薄い。

言い方を変えると、うちの町にもJリーグクラブが誕生したと言いやすくはなったけど、ごまかしやすくもなった。実質このクラブJリーグクラブじゃないよね。だってプロで飯食えてる選手が3人しかいないし。

結局ほとんどの選手が仕事しながらサッカーしてる。これJFLと何が違うのって。Jリーグの傘下に入ったのだから、あなたはJリーグのビジネスの中で営業しなさいねって。じゃあ客が1万人になんのかといったら、せいぜい2千人、3千人。それで絶対にプロクラブとして飯が食えるはずがない。というのが実態。

だったら別に4部でいいから、力つければいいじゃん。4部でも観客5千人にするような愛され方になる。

そういう努力をして、それで堂々とJFLを卒業して、JFLのリーグから、対戦相手のチームから、もうお前らがJFLにいたら邪魔だから、いっぱい客も入ってんだから、Jリーグに行っても絶対潰れないし、飯も食えるだろっていう追い出された方がいいのに。

(曹長) Jリーグのブランドあげましょうか、それでやっとJリーグに入れました。そしたらあとは、地域のスポンサーに土下座する集団になっちゃって。お上に年貢を納めなきゃいけない、支配下に入ったが故に。

<vol. 2 に続く。>

錦糸町フットボール義勇軍
2014年春、日本のフットボールカルチャーに『革命』を起こすべく立ち上がった革命戦士。偉大なる伝道師『ロック総統』、その忠実なるしもべ『ライト曹長』、策士『オットナー参謀長』を中心とする、居住地域と支援蹴球団の枠に囚われない全国の同志義勇兵の総称。今夜も人知れず地下アジトで傷をなめあう非力なレジスタンス集団。その崇高なる理想は他ならぬ日本サッカー全体の『エンタメ的発展』。経費は録音用革命電池と革命飲料のみ。Podcast収録のために、都内の雑音なき録音可能スポットを求めて日夜さまよう。おじさん達。体力なし。

著書『KFG蹴球文化論』ラジオNIKKEIレギュラー番組『蹴球革命ラヂヲ』雑誌『フットボール批評』で連載。[ブログ]革命! 錦糸町フットボール義勇軍 

Podcast:革命!錦糸町フットボール義勇軍

 

「結集せよ同志諸君!これは革命である!」我が国のフットボール文化を憂い立ち上がった2人の革命戦士。今宵も錦糸町アジトよりこっそり地下放送…

 

 

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