サッカー馬鹿

2017.7.13

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なでしこ魂を胸に、東京五輪で再会を期する。<ジュネヴィーヴ・リチャード インタビュー&取材後記>

なでしこ魂を胸に、東京五輪で再会を期する。<ジュネヴィーヴ・リチャード インタビュー>

©NOJIMA STELLA

2017年7月11日 ノジマステラ神奈川相模原公式サイトより、GKジュネヴィーヴ・リチャード選手のフランス1部 オリンピック・マルセイユ レディースへの移籍が発表された。 

「今回の移籍は予測のできないものだった」とコメントを発表したジェン選手。なでしこリーグ1部 ノジマステラ神奈川相模原所属のGKジュネヴィーヴ・リチャード選手の突然の移籍報道に驚かれたファン、サポーターも多いのではないだろうか。

少なくとも、我々がジェン選手にインタビューさせて頂いた7月5日時点では、このような展開は予想外であり、当人も同様であったはず。そしてリリース後ということもあり、当インタビューの公開を控えるべきかどうかいささかの迷いもあったが、改めて彼女が紡いだ言葉を読み上げていくうちに、是が非でもファン、サポーターにお届けしたい。いや、お届けすべきだという結論に至った。

 

――ジェン選手の今後の目標をお聞かせください。

(Gen) 2019年のW杯でカナダ代表に選ばれること。そして、2020年東京五輪に出場することです。

一人のサッカー選手としてジェン選手の目標は極めて明確であり、視線の先に東京五輪を捉えていた。カナダ代表に選出されるために、日本でプレーすることは、彼女にとって大きな糧となる。その理由が後のインタビューに繋がっている。

 

――日本のサッカーとカナダのサッカーの違いをどのように感じていますか。

(Gen) カナダ人の特長はフィジカルの強さです。その反面、テクニカルではない。日本人は皆がテクニカル、そして速いですね。

 

――印象に残っている日本人選手はいますか。

(Gen) 阪口、岩清水。テクニカルに優れた選手との対戦は本当に良い経験ですね。

練習開始2時間前にグラウンドに出て、一人でボールを蹴っていたり、キックの練習をしています。多分、テクニックを身に付けたい、足元のプレーを磨きたい、自分の課題をわかって練習しているのだと思います。彼女は本当に努力家なんです(広報)

©NOJIMA STELLA

――足繁くスタジアムに駆け付けて声援を送る、サポーターの皆さんをどう思いますか。

(Gen) very hard working 

非常に一生懸命に頑張ってくれる。そして彼女はこう続けた。歌を唄ったり、旗を振ったり、カナダとアメリカには、そういう文化はありません。もしかしたらプロリーグにはあるのかもしれませんが、それはこっちに来て一番驚いたことでした。

(Gen) 「頑張る」の意味はすごく面白いと思います。来日当初は理解できませんでしたが、3年目に入ってようやく意味がわかるようになってきました。すごく素敵な言葉です。

頑張るという言葉を我々は普段から何気なく使うが、彼女が言いたいのは、「頑張る」には二つの意味を持つということではないだろうか。それは、自分のために努力すること。もう一つは、人のために尽力すること。

移籍報道のコメントでは、尊敬と卓越性と倫理とあったが、日本人特有の勤勉さや献身的な姿勢を彼女はこのように言い表していたのだと思う。

地域のお祭りに参加した時とか、チラシ配りも積極的に一生懸命にやってくれるんです。(広報)

(Gen) I like peoples

普段から日本語学校に通い、積極的にコミュニケーションをする。日本語あまり読めないから難しいけど、仕事したいと語るジェン選手。日本食も大好きだし、観光にも頻繁に出掛ける。日本に慣れ親しもうとする努力だけでなく、積極的に楽しもうとする姿勢がうかがい知ることができる。

加熱という漢字が読めずに、加熱用の牡蠣を生のまま食べて食あたりを起こしたり、 茄子とホルモンは苦手とおどけてみせる。お気に入りの観光地は伊豆だそうだ。

(Gen) ヨーロッパにも行きたい。

最後にジェン選手はこう話してくれた。

アメリカとフランス文化がミックスされたモントリオール出身の彼女の新天地が、フランスの名門クラブ『オリンピック・マルセイユ レディース』であったことに運命を感じずにはいられない。W杯の舞台で、そして、東京五輪で。再会の時が今から待ち遠しい。

Genevieve Richard(ジェネヴィーブ・リチャード)
 1992年8月17日生まれ

出身地:カナダ ケベック州 セント・ブルーノ

ポジション:GK

経歴:ウィスコンシン大学→ノジマステラ神奈川相模原

日本での成績:通算48試合出場

 

【取材後記】

©NOJIMA STELLA

数ある競技種目の中で、男女共通のルールで行われているスポーツは稀である。その中にサッカーは含まれるのだが、敢えて難点を挙げるとするならば、GKというポジションではないだろうか。男女の体格差を考慮するのであれば、ゴールの大きさを変更すべき。(あくまでも私見なので悪しからず。)

一般的に、観るものにとってゴールシーンこそサッカー観戦の醍醐味が集約されがちだが、「この程度のシュートで入ってしまうのか。」と呆気なく奪われるゴールシーンほど冷めてしまうものはない。

ルールの変更、あるいは、GKの向上は、女子サッカー観戦の面白みを増幅させるのではないか。これまた私見ではあるが、取材後記の場を活用してしたためる事にした。

ジェン選手は、インタビュー内で「GKは憧れのポジション」だと語っていた。その背景には、幼い頃から天然芝のグランドに馴れ親しむ事ができた環境にあることが想像できる。硬い土のグラウンドでは、率先してGKをやりたがる子供は少ないのではないか、ジェン選手はこう続けた。

「GKの育成は、日本女子サッカーの強化の鍵である。」とJFAもその重要性と向き合う姿勢を示しているが、高さ、強さを兼ね備える外国人GKが、なでしこリーグでプレーすること、そして、そういった選手とピッチ上で対峙することは意義深い。

ダイナミックなセービングを披露し、多くの観客を湧かし続けてきたジェン選手の活躍はなでしこリーグに大きなインパクトを残したのではないだろうか。

〈了〉

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