ロシアW杯アジア最終予選 日本代表2ー0オーストラリア代表〈埼スタ〉
満員の埼スタが揺れた。
ロシアW杯アジア最終予選B組、互いに勝てばW杯出場が決まる大一番、ワンポイント差で首位日本を追走する宿敵オーストラリアを迎えたホーム決戦は、41分、浅野のゴールで先制、82分に井手口の鮮やかなミドルシュートが突き刺さり2ー0 日本は快勝でロシア行きを決めた。
この大一番に向けて、ハリルホジッチ監督はまたもや大胆な采配を振るった。ケガから復帰した主将長谷部誠(フランクフルト)をアンカーに起用、インサイドハーフには山口蛍(C大阪)、井手口陽介(G大阪)と守備的MF二人を並べ、ワントップに大迫(ケルン)を据え、スピードが武器の浅野拓磨(シュツットガルト)とテクニックに長けた乾貴士(エイバル)を両サイドに配置した。
前節のイラク戦から4人を入れ替えて臨んだこの一戦を大博打だと表現する識者も多いことだろう。結果如何では迷采配と揶揄されてもおかしくはない。一見、奇襲とも受け取れる采配を振るったハリルホジッチ監督だが、今予選の戦いを振り返れば、相手チームを徹底的にスカウティングした万全の配備と評されて然るべきだろう。
試合序盤のピッチは混沌としていた。「大きく予想が外れていたわけではない。個々では思っていなかった選手もいたが、チームとしての日本のプレースタイルについては予想どおりだった。」と試合後の会見で語ったアンジェ・ポステコグルー監督だが、ピッチを見渡す限りオーストラリアは明らかに困惑していた。しかし対する日本も同様だったに違いない。
落ち着きを取り戻したのは日本の方だった。後方から果敢に指示を送る長谷部を中心に日本の陣形は徐々にバランスを生み出し、ハリルホジッチの采配を見事に体現してみせた。
対するオーストラリアは劣勢にもかかわらず終始自らのプランに固執したように見えた。1点ビハインドで迎えた終盤にケイヒルを投入するなど攻勢に打って出るものの、得意のパワープレーを見せることなく、後方のパス回しを狙われ、ボールを失い追加点を奪われてしまう格好となってしまった。
メンバーを固定せず、調子の良い選手を積極的に登用する。選手は迷いなく自らの特長をピッチで表現する。ハリルホジッチ監督の采配は世代交代の潤滑油となった。
この日得点を決めたのは奇しくも22歳の浅野と21歳の井手口だった。これまでチームの大黒柱として君臨していた本田圭佑とエースナンバー10を背負う香川真司に出番は回ってこなかった。
いよいよ舞台は世界へ。「誰ひとりメンバー入りは保証されていない。」と試合後に語っていた長谷部の目線は先は既に世界にある。さらなる進化へ向けて我らが日本代表はようやくスタートラインに立てることができたわけだが、ひとまずこの素晴らしい歓喜に浸っておきたい。おめでとう!!
<了>
Categories & Tags