自力では及ばない”ナニカ”を味方につけた時、奇跡は起きる!<ロシアW杯17日目>
スペイン1(3-4)1ロシア
ロシアW杯ノックアウトステージ2日目。開催国ロシアvs無敵艦隊スペイン、スター軍団クロアチアvs堅守のデンマーク。見応えある接戦を演じた両対決の結末はいずれもPK合戦へと突入した。
FIFAランキング70位、開催国ロシアのGL突破は地の利を生かした恵まれた組み分けがもたらした産物だろう。大方のサッカーファンはスペイン優位を予想していたに違いない。
試合は大方の予想どおり終始スペインペースで展開する。先制点が生まれたのは試合開始早々の11分、右サイドで得たFKをファーサイドに詰めていたセルヒオ・ラモスが押し込みゴール!と思われたが、マークについていたセルゲイ・イグナシェヴィッチかかとに当たっていたことが判明。ロシアが不運なオウンゴールを献上してしまう。
勢いに乗るスペインは試合の主導権を堅持、ゴールラッシュを期待していたスペインサポーターも少なくはなかったはずだ。ところが、今度はロシアの方にラッキーが転がってくる。前半終了間際の41分、右CKをアルテム・ジューバがゴール前中央で頭で合わせる。そのボールがなんとジェラール・ピケの手に当たりロシアがPKを獲得、ジューバがこれを冷静に決めロシアが同点に追いつく。
スペインはアンドレス・イニエスタをはじめ立て続けにフレッシュな選手をピッチに送り込み猛攻を仕掛ける。それでも中々チャンスをものにすることはできず試合は延長戦に突入。ロシアは劣勢を強いられるも、体を張ったディフェンスでゴールを死守。結局試合は120分でも決着がつかずPK戦へ。
こうなれば完全にロシアペースだ。強豪相手に粘り強い戦いを演じた彼らに、スタンドに詰めかけた7万人の大観衆が喝采を送る。大観衆を味方につけたロシアがPKを制すのは必然だった。
クロアチア1(3-2)1デンマーク
試合開始57秒、右サイドから放り込まれたロングスローはそのままゴール前へ、混戦からマティアス・ヨルゲンセンが押し込み、いきなりデンマークが先制する。
ところがその3分後、クリアーボールが味方に当たりルーズボールに、そのボールにいち早く反応したマリオ・マンジュキッチがボレーを叩き込みクロアチアがラッキーな形ですぐさま同点に追いつく。
一進一退の攻防戦は両者とも決定機をものにすることができず試合は延長戦に突入。クロアチアはデンマークの堅守を攻略することができず、PK合戦へ突入かと思われたタイムアップ4分前、クロアチアにビッグチャンスが訪れた。
カウンターから裏に抜け出したアンテ・レビッチがペナルティーエリア内で倒されPKを獲得。ところが、ルカ・モドリッチのキックはGKカスパー・シュマイケルにキャッチされてしまう。クロアチアは転がり込んできた好運をキャッチすることは出来なかった。試合は1-1のまま120分を終えPK合戦に突入した。
PK合戦は、両GK合わせて5つのセーブが飛び交う熾烈な戦いとなった。最初のキッカーが互いに失敗、つづく2人目のキッカーがともに成功。クロアチアの3番目のキッカーに指名されたのは、直前のPKを逸してるモドリッチだった。モドリッチはサッカーの神様に見捨てられてはいなかった。これを難なく決めたモドリッチは拳を高らかに突き上げた。
その後つづけざまに三人のキッカーが立てつづけにシュートミス、最後のキッカー、イヴァン・ラキティッチがきっちり決め、クロアチアが堅守デンマーク相手に薄氷を履む想いで勝利を手繰り寄せた。
スペインに自力では及ばないロシアだが、彼らは圧倒的な数のサポーターの大声援を味方につけた。相手の堅守に苦しんだクロアチアだが、彼らは決してサッカーの神様に見限られることがなかった。奇跡的な勝利を手繰り寄せた両チームはベスト8へ駒を進めた。
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