サッカー馬鹿

2019.4.15

知将相見える師弟対決はドロー結着〈明治安田生命J1 第7節 湘南1-1松本〉

 
明治安田生命J1 第7節 湘南ベルマーレ1-1松本山雅FC(BMWスタジアム/10417人)
51分 武富 孝介(湘南)
83分 レアンドロ・ペレイラ(松本)
 
明治安田生命J1 第7節 湘南ベルマーレvs松本山雅FCの一戦は1-1のドロー結着。レアンドロ・ペレイラの移籍後ゴールで松本が引き分けに持ち込んだ。
 
互いにハードワークが信条の両チームの対戦は反町 康治監督(松本)と曹貴裁監督の師弟対決。ともに3-4-2-1のシステムを敷くミラーゲームは球際の激しいマッチアップが数多く見られた。
 
湘南のスタメンは前節(磐田戦)から2枚を変更。GK秋元 陽太、3バックは山根 視来、フレイレ、大野 和成。先のルヴァンカップGS札幌戦で復調をアピールした大野が小野田 将人に代わりスタメン復帰、キャプテンマークを巻いての出場となる。
 
ドイスボランチは松田 天馬と怪我から復帰の齊藤 未月。前節ボランチ起用の菊地 俊介は一つ前のシャドーへ武富 孝介とコンビを組む。両ウイングバックは前節につづき左に杉岡 大暉、右に鈴木 冬一、トップは前節出場を回避していた山崎 凌吾が満を持してのスタメン復帰となる。
 
対する松本は前節勝利を収めた神戸戦と同じメンバー構成となる。セルジーニョとエドゥアルドが外れ、果敢な仕掛けが印象的な中美 慶哉がシャドーに入り、殊勲のゴールを決めた飯田 真輝をセンターバックに置き、勝利の勢いそのままに試合に臨む。
 
「前半はわれわれのほうがしっかり狙いを持って試合を進めていた」と曹監督。「特に前半は低調で、いつやられてもおかしくはない流れだった」と反町監督。前半戦は両監督の言葉どおり湘南ペースだった。
 
ファーストパスへの素早いアプローチ、セカンドボールへの反応、ボール奪取からのつなぎ、後方からの飛び出し、センターバックの積極的な攻撃参加など、攻守にわたり相手を凌駕した湘南。しかし得点には至らない。
 
一方の松本は、劣勢を強いられながらもペナルティボックス内でしっかりとブロックを敷きギリギリのところで跳ね返すシーンが多く見られたが、奇をてらったトリックプレーをみせるなどセットプレーから相手の隙を伺う。
 
ところが、一瞬の隙を突いたのは湘南の方だった。51分のスローインからのリスタート。ボールを持ち出した松田がボックス内中央の山崎に浮き球パスを送ると、胸トラップから体を反転させながらダイレクトボレー、ポストの跳ね返りを齊藤 未月がシュートを放つも再びポスト、最後は武富がヘッドで押し込み湘南先制。
 
「スローインで休むなと言ったらまさにその通りでスローインからやられてしまった。」(反町監督)
 
同点ゴールを目指す松本は62分に前田 大然に代えて杉本 太郎を、70分に中美から永井 龍にスイッチ。タイプの異なる2シャドーに入れ替え、パウリーニョを押し出すように宮阪 政樹がアンカーに位置どり前掛かりな陣形で攻勢に打って出る。
 
この一連の交代に際して反町監督は「向こうのディフェンスの目線を変えるような形をしなければいけない。大然の場合はどちらかというと戻りながらの対峙、杉本の場合は相手を前にしての対峙。ボランチが前がかりで2点目を取りにいっていることことも含めて有効かなと感じました。永井(龍)も本来なら1トップの選手かもしれませんけど、ゴール感覚に優れている、点を取りに行かないといけない状況だった」と説明している。
 
一方の湘南は立て続けのアクシデントに見舞われてしまう。65分に菊地が、79分に大野が負傷交代。「それも(含めて)チームの力」だと語っていた曹監督だが試合の流れは徐々に松本ペースへ。
 
「セーフティにやろうという考え方が強すぎて、前半みたいに繋げたらもっと相手のプレッシャーをはがせたと思うし、蹴ったことによってセカンドボールを拾われて相手にリズムを作らせたところもあった」大野をはじめ湘南の選手たちは揃えるようにリードした中でのゲームの進め方について課題を口にしている。
 
セカンドボールの回収に後手を踏む湘南は次第にロングボールを多用するようになる。
 
「向こうが長いボールで逃げて、あまり中盤でボールを動かすことができてなかったので、高い位置でボールを奪うことができた」と反町監督。
 
「後ろのラインと前のラインの呼吸が合わずに、ちょっとセカンドボールを拾われ出してああいうスーパーシュートを決められる形になりました。」と曹監督。
 
83分、レアンドロ・ペレイラにスーパーゴールを叩き込まれた湘南はその3分後に最後のカードを切る。曹監督は鈴木冬に代えて古林 将太の投入を決断する。
 
長身FW指宿 洋史の投入でパワープレーに打って出るかと思われた中、なぜ曹監督は右ウイングバックの交代を決断したのだろうか。
 
この試合を通じてもっとも激しいマッチアップを繰り広げていたのが、湘南の右サイド高卒ルーキーの鈴木冬と昨季まで湘南に所属していた左サイド高橋 諒の攻防だった。前半こそ鈴木冬は鋭い動き出しで相手センターバックの脇をえぐりチャンスを作り出していたが、経験値で上回る高橋が巧みな駆け引きで次第に左サイドを制圧。
 
「90分のうち89分良いプレーをしたとしても1分違うことをして失点してしまうと世界には出ていけないと思う。そういう話をした」 後半戦に向かう鈴木冬に対してのアドバイスを明かした曹監督。その鈴木冬を終盤の勝負どころで下げた意図は逆転へのリスク回避なのか、あるいは勝利への執念か。
 
両監督の駆け引きが垣間見れた好ゲームだった。

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