サッカー馬鹿

2019.5.6

色濃く染め上がるチームカラーで更なる高みへ〈明治安田生命J1第10節湘南1-1名古屋〉フォトギャラリー付

撮影:花井康成

明治安田生命J1第10節 湘南ベルマーレ1-1名古屋グランパス(BMWスタジアム/14221人)
44分 山崎 凌吾(湘南)
65分 ジョアン・シミッチ(名古屋)
 

リスク覚悟でスタイルを貫く。今季のチャレンジを象徴していたナイスゲームだった。

 
明治安田生命J1第10節、強豪名古屋を迎えての一戦は1-1のドロー決着。この結果を持って湘南は4勝4敗2分で10位をキープ、勝点を14まで積み上げた。これまで五分五分の戦績を収めている湘南だが、昨季とはまるで異なる数字を残している。
 
それは得失点数字だ。
 
得点数「13」失点数「12」得点数と失点数ともに多い。この数字が表しているのは”チャレンジ”に数に他ならない。
 
・ハイラインをキープ
・ファーストパスへの果敢なチャージ
・ボール奪取から全員がゴールに矢印を向ける
 
逆を言えば・・・
 
・ディフェンスラインの背後を突かれる
・陣形を崩される
・ボールロストから一気にピンチに陥る
 
チャレンジとリスクは常に隣り合わせなのだ。
 
強豪相手にチャレンジを繰り返す。その果敢な姿勢が実を結んだシーンが山崎 凌吾の今季初ゴールにつながるPK獲得までの波状攻撃だった。
 
44分、GK秋元 陽太のロングフィードをトップの山崎が頭ですらし梅崎 司の足元に収まる。すぐさま梅崎が持ち出しミドルシュートを狙うが相手ディフェンスにブロックされてしまう。セカンドボールの処理にもたつく名古屋ディフェンスの隙間へ後方から猛然と駆け上がる岡本 拓也がボールをさらいペナルティボックスへ侵入。岡本の鋭し飛び出しに思わず足を投げ出してしまったジョアン・シミッチに倒されPKを獲得。
 
ボール奪取から一気にトップの山崎に当てる、山崎のポストプレーに程良い距離にポジションをとるツーシャドー武富 孝介、梅崎が収める。ポール奪取の瞬間から後方の選手が次々に飛び出していく。まさに狙いどおりが結実したシーンだった。
 
このシーンに関して岡本は「取った後素早く出ていく、それを繰り返すこと、最後のフィニッシュのところに絡んでいく思い切ったプレー」と振り返っている。
 
守備面に関しても、この日の湘南の狙いは一貫していた。
 
相手のストロング、ジョーと長谷川アーリアジャスールのツートップに対し、対人プレーに強いフレイレと坂 圭祐がマンツーマンでケア。ボールの出所となるJシミッチと米本 拓司に対し激しいプレッシングで対峙したダブルボランチの松田 天馬と齊藤 未月。
 
「今日のゲームはボランチがどれだけ前向きに相手のボランチを潰せるかということが重要だった」と齊藤が語るとおりこの地帯でのマッチアップが勝敗の分かれ目だった。
 
このあたりは完敗を喫した川崎戦の教訓が生かされている。
 
しかし課題はある。後半の早い時間帯に風間 八宏監督は精彩を欠いていたジョーを諦め負傷明けのガブリエル・シャビエル を投入。パスの出所を増やしゲームを立て直せば、ジョーとはリズムが違うの赤崎 秀平をトップに立て攻勢に打って出た。風間監督の一連の采配に湘南ディフェンス陣は後手に回ってしまった。
 
それでも湘南は運動量が落ちた梅崎に代えて中川 寛斗を投入。前線からのプレスを続行し、ディフェンスの一枚、フレイレに代えて鈴木 冬一を投入。鈴木冬は得意なドリブルでチャンスを幾度のチャンスを作り出した。
 
押し込まれている展開だからこそカウンターが活きる。しかし、曹貴裁監督の狙いは結実しなかった。
 
それでも曹監督は「昨年の10試合終わったときに比べて、選手の表情とかやろうとすることのレベルは間違いなく上がってると思います。」と自分たちの戦い方に自信を深めながらも、「J1のチームもいろんな色のあるチームが出ている中で、自分たちってこうなんだっていう事を、自分たちの土俵の中で上積みできている実感があります。」と更なる飛躍を誓った。
 
スタイルの異なる強豪相手に己のスタイルを崩さない。それどころか自らが精度を高めることでさらに脅威を与えていく。色濃く染まり上がるチームカラーで湘南は更なる高みを目指す。
 
(勝村大輔)

フォトギャラリー<photo by 花井康成>

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