ルヴァンカップGS第5節 湘南ベルマーレ1-0V・ファーレン長崎(BMWスタジアム/5077人)
48分 鈴木 冬一(湘南)
48分 鈴木 冬一(湘南)
負けたら敗退が決まるルヴァンカップGS第5節。ホームに長崎を迎えての一戦は鈴木冬一のプロ初ゴールで湘南が勝利。スコア以上に内容で圧倒した湘南がGS突破へ望みをつないだ。
リーグ第10節(名古屋戦)から中3日、この試合を終え再び中3日のスケジュールで第11節(大分戦)を迎える。過密日程の中行われた長崎戦だがスタメンに名を連ねたのは先日にお届けしたプレビューとほぼほぼ近い形となった。
GKはこれまでのGSでフル出場中の富居 大樹、3バック中央は次節(大分戦)の出場停止が決まっているフレイレ、左に小野田 将人、右にキャンデンマークを巻く山根 視来。WBは左に鈴木 冬一、右に古林 将太。ダブルボランチは齊藤 未月と秋野 央樹。ワントップに山口 和樹を抜擢、シャドーにはレレウと鈴木 国友が入った。
プレビューで注目選手に挙げていた秋野は予想どおり今季初のボランチでの先発。リベロを経験した秋野は本来の位置からどのような景色を見たのだろうか。この日はテンポ良いパス回しで攻撃のリズムを作っていた。
「出てこない相手に突っ込むのは得策ではないので、相手を引き出して、自分のところに来る前にワンタッチでクサビを入れることは意識していました。どちらもできたと思いますが、1点では物足りない試合でした。」(秋野)
もう一人、ボールロストの少ない安定したポストプレーで攻撃の起点となっていた山崎 凌吾を挙げていたがこの日はメンバー外。大橋 祐紀の負傷離脱の影響もあり、トップを務めたのはなんと身長155センチの山口 和樹だった。
これまで曹貴裁(チョウ キジェ)監督は山崎や指宿 洋史など長身選手をトップに据えることが多かったが、昨今では大橋をトップに置き、昨季までトップで起用されていた長身の鈴木 国友をシャドーに下げるなど、ゼロトップ仕様にチャレンジしているようだ。
前線で起点になるだけでなく、下がってボールを受けることで2列目、3列目の選手の攻撃参加を促す。48分に生まれた先制ゴールはまさに曹監督の狙いどおりの形だった。
センターサークル付近まで下がりボールを受けた山口は、ディフェンスラインの間を斜めの動きで抜け出す途中出場の中川 寛斗へパス。その間、複数の選手が同時にペナルティボックスへ向け動き出すも、中川は冷静な判断でフリーの鈴木冬にパス。鈴木冬は迷いなく左足を振り抜き放ったシュートはゴール右隅に突き刺さった。
ルヴァンカップGS第1節 長崎戦でプロデビューを果たした高卒ルーキー鈴木冬は存在感あるプレーでインパクトを残し活躍の舞台をJ1へステップアップ。瞬く間にスターダムにのし上がる鈴木冬は6月に開催のU-20ワールドカップメンバーに飛び級招集。この日のプロ初得点は個人にとってもチームにとっても待望のゴールだったに違いない。
これまでルヴァンカップGSにおける湘南の戦いぶりは若手の積極起用にとどまらず、”新たなオプションの創出”へのチャレンジにも果敢だった。それは秋野のリベロ起用であり、大橋、山口をトップに据えるゼロトップ仕様であり、鈴木冬の左右両起用であり、これらのチャレンジは確実にリーグ戦の戦い方に影響を与えている。
「リーグ戦でなかなかスタートポジションを取れなかった選手たちが、今日途中から出た選手も含めて、チームにとって厚みを持たせる試合をしてくれました。ここからまた良い意味の競争が始まり、リーグ戦、ルヴァンカップと、同じようにチーム強化ができればと思います。」と曹監督も手応えを感じているようだ。
湘南は次戦ホームに大分を迎える。
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