明治安田生命J1第16節 ガンバ大阪1-0湘南ベルマーレ(パナスタ/19162人)
90分+1 食野亮太郎(G大阪)
互いに苦境に喘ぐチーム同士の戦い。ドローゲームが3試合つづき降格圏を彷徨うG大阪と、浦和戦の劇的勝利から3連敗中の湘南が対戦したJ1第16節は後半アディショナルタイムに途中出場の食野亮太郎がゴールを決めG大阪が勝利。
この試合を終えて両チームは勝点で並び得失点差でG大阪が湘南の順位を上回った。湘南はこれでリーグ4連敗、降格圏を眼下に望む立ち位置に置かれてしまった。
長期離脱中の大橋祐紀をはじめ梅崎司、菊地俊介、岡本拓也、坂圭祐ら開幕から主力を張っていた選手たちが相次いでメンバー外。「誰が出ても変わらない」としながらも台所事情が厳しい湘南。
この日はコパアメリカに参戦中の杉岡大暉に代わり小野田将人を左ウイングバックに起用、前節、長期離脱から復帰した金子大毅が2戦連続のスタメン。金子の復帰により松田天馬が1つポジションを上げシャドーに位置取り、これまで途中出場が多かった古林将太が今季2度目のスタメン出場、本職の右ウイングバックを務めた。
システムはデフォルトの[3-4-2-1]前線から果敢にプレスを仕掛け、ボール奪取からワントップ山崎凌吾をターゲットにくさびを入れシャドーの2人が絡む。そして後方から次々に選手が飛び出していく。強い縦への意識から繰り出されるショートカウンターが持ち味の湘南だが、肝心のファーストパスが精度を欠き、山崎への警戒心を強める相手に対して、序盤こそゴールに迫る勢いを見せるも次第に押し込まれる格好となる。
それでも右ウイングバックの古林がタイミングよくディフェンスラインの背後を伺い幾度のチャンスを作り出すが、3バックの急所であるウイングバックの背後のスペースを狙われ、古林、小野田のポジションが下げさせられ守備への負担が増える。山根視来、フレイレ、大野和成の3センターバックがゴール前にブロックを築き難を逃れるが、後半はカウンター一辺倒の攻撃に終始してしまった。
普段どおりの戦いを試みた湘南だが、似たような形から崩されるシーンが目立つ。曹貴裁監督の打開策に期待してしまうところだが、59分に鈴木冬一、82分柴田壮介、88分野田隆之介と立て続けに交代策を講じるが、選手を入れ替えただけで戦術に工夫は感じられない。
3連敗中のアウェー、残り10分でスコアレス。この状況においても守り切るという選択肢はなかったのだろうか。
こだわりとはある意味偏りとも受け取れるが、チーム唯一のパサー秋野央樹も投入もなく、レレウ、デュマスの外国人選手はベンチにも入らない。タイプの異なる選手を排除することでチームカラーを強める、一方で引き出しを減らしてしまってる印象が強いのも事実だ。
「前半に1点か2点取れていれば、違う展開になっていた」曹監督をはじめ選手たちも口々にこのように試合を振り返っていたが、プランが崩れた時にどうするのか、いや、どうしたかったのだろうか。今はただ、「この悔しさをしっかり脳裏に残して」という曹監督の言葉を信じてチームの奮起に期待したい。
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