「美容師さんがカットできるようになるには、何年くらいかかるの?」
先日、お客さまからこんな質問がありました。
「3年くらいですかね〜」とボク。
どうしてこのような質問に至ったのかというと、このお客さまの娘さんが美容室でアシスタントをしているからです。
「自宅から通ってるから、お金の問題はなさそうだけど、とにかく忙しいそうで」と心配のご様子。
最後に「とにかく3年は頑張って欲しい!」と仰ってましたが、
質問に答えたボクは、この”3年”という数字に無責任さを覚えました。
こんにちは 勝村大輔(@gunners5050)です。
この記事を書いているボクは、現役の美容師です。
美容師歴は25年、人口20万人の市内に20坪ほどの小さな美容室を営んでいます。お店はまもなく開業から15年目を迎えます。
この質問を受けた時に、ホリエモンの「寿司職人が何年も修行するのはバカ」発言を思い出しました。
ホリエモン「寿司職人が何年も修行するのはバカ」発言 数か月で独り立ちの寿司はうまいか?
賛否両論を巻き起こした”バカ発言”でしたが、ボクは完全に賛同側でした。
それと同時に「美容師の修行も長過ぎじゃね?」と感じていたわけで。
なのでこの機会に、
「なぜ美容師がカットできるまで、3年もかかるのか?」
「3年って長すぎないか?」
「爆速でスタイリストになる方法はないのか?」
改めて考えてみることにした。
お届けするラインナップは、下記のとおりです。
- アシスタント期間は平均3年
- なぜ3年もかかるの?
- YouTubeを活用する
- 環境のせいにしない
1. 美容師のアシスタント期間は平均3年
美容師のアシスタント期間をググると、やはり3年が一般的なようです。
ざっくりと平均値を出してみた。
- 1年 1%未満
- 2年 25%
- 3年 70%
- 4年 5%
- 5年 1%未満
加えて、下記に美容師の離職率を書き出してみた。
- 1年以内 50%
- 3年以内 80%
- 10年以内 92%
アシスタント業務は、よほど酷なのでしょう。
スタイリストデビューを待たずに、8割もの美容師は離職しています。
これが現実です。
2. なぜ3年もかかるのか?
次に「なぜ3年も必要なのか?」について考えてみます。
要因は3つ思い当たります。
- 10000時間の法則
- 10000時間を早める方法
- 無意味な上下関係
上記を深掘りします。
10000時間の法則
10年ほど前に話題になった『天才!成功する人々の法則(著マルコム・グラッドウェル)』という本があります。
この本に書かれているのは、
「どの分野でも一万時間を注ぎ込めば、その道のエキスパートになれる。」
つまり、才能ではなく、継続が欠かせないと仰ってるわけですが、そう考えると、一日10時間、仕事に携われば、ぴたりと3年でミッションコンプリートできる計算になります。
なので、3年間という期間は妥当といえます。
10000時間を早める方法
普通に取り組めば3年かかるのは分かった。
では次に、3年以内にスタイリストになる方法を探ります。
明確な回答は3つあります。
- 集中力を高める
- 時間を増やす
- ひたすら継続する
つぎ込む時間を増やし、質を高める。
単純明快です。
ですが、二十歳そこそこの遊びたい盛りの子たちにとっては、それは非常に酷かもしれません。
正直なところ、成長が遅いのは、だいたいサボってるからだと思います。ww
これも事実です。
無意味な上下関係
店舗により状況は異なりますが、人不足のため自分よりも若い子が入ってこない、あるいは、上が詰まってるなど、置かれている立場によってスタイリストデビューが遅れているという話をたまに耳にします。
要するに、無意味な上下関係が出世を阻んでいるという状況です。
これは、師弟関係が色濃く残る業界にありがちな光景です。
「アシスタントたる者は」という押し付けは、成長を阻む害悪でしかありません。
教えてほしいのに、覚えさせてくれない。
この状況を覆す方法が一つあります。
3. YouTubeを活用する
YouTubeには、無数の教材が転がっています。
それこそ、シャンプーの仕方から、カット理論、アップのやり方まで。
全国各地の美容師たちが、こぞって役立つ動画を発信しています。
今でもボク自身、YouTubeから多くを学ばせてもらっています。
昔は、先輩から教わる他なかったトレーニングでしたが、今ではYouTube先生が何でも教えてくれます。
かなり使えます。
スマホがあれば、自宅でも、バスタイムでも、いつでも何処でも学ぶことができる。
爆速でスタイリストを目指すなら、YouTubeの活用はマストですね。
4. 環境のせいにしない
昨今、政府が推進する「働き方改革」の影響で、多くの美容室でも、週休二日制や週40時間労働の採用、そして福利厚生の充実など、職場環境の改善が進んでいます。
これはとっても素晴らしいことだと思いますが、その反面、美容師の成長の遅延につながるとボクは危惧しています。
反論覚悟でつづけますが、アシスタント時代は過酷な環境が相応しいと思っています。
なぜなら、いち早くこの状況から抜け出したいと必死になれるからです。
中には「練習時間が残業に当たらないのはおかしい」と不満を口にする美容師もいるそうですが、制限されずに、好きなだけ練習ができる環境の方が、早く成長できるはずです。
先輩が教えてくれない、環境が悪いなどと、他の誰かのせいにしている暇があるなら、必死こいて練習しまくる。これに限ります。
ただ、ひとつ言えることは、美容学校がいかに無駄かということです。
2年間も通ったのに、カットもできないどころか、シャンプーもワインディングもブローもできない。なぜなら学校で一切、職業訓練が行われていないからです。
美容師免許の取得と同時に、ある程度の技術が習得できていれば、低賃金も長時間労働も回避できる可能性は高い。
しかし、残念ながら現況が変わることは、まったく期待できません。
アシスタント時代を早めるために、もっとも欠かせないのは、仕事を面白がることです。
好きではじめた美容師の仕事を死ぬほど面白がる。
そうすれば苦痛などないはずです。
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