サッカー馬鹿

2015.5.6

奇襲がもたらした産物〜横浜Fマリノスvs名古屋グランパス〜

Jリーグ第10節 横浜Fマリノスvs名古屋グランパス

相変わらず空席が目につく日産スタジアムは、Jリーグ第10節、横浜Fマリノスvs名古屋グランパス。この日の観客動員数は22514人。GWを持ってしても満席には程遠い。リーグ2位の集客力を誇るマリノスでさえ巨大スタジアムを満席にすることは至難の技だ。箱の大きさはともかく空席が目につくスタジアムの雰囲気は、著しく観戦価値を低下させてしまうものだ。サポーターが創り出す雰囲気こそがスタジアム観戦の醍醐味なのに・・・。ニッサン開催もいかがなものか。

▼空席の目立つ日産スタジアムもサポーター席は常に熱気にあふれている。
不明

前節まで2連敗中のマリノスに対し、永井、川又、日本代表コンビが絶好調の2連勝中の名古屋グランパス。戦前の予想は、グランパス優位という見方が大半を占めていたが、中村俊輔、ラフィーニャら、主力に負傷者を多く抱えるマリノスが討って出た戦略は、今シーズン初めて採用した3バック。多くの識者はコレを奇襲と呼んだ。

奇襲に出たマリノス

奇をてらう、相手の意表を突く、やったことのないことのないことをするのだから、確かに奇襲といえばそうかもしれない。しかし、見方によっては、それは、ただ打開策を模索しているに過ぎない。マリノスが模索しているのはシステムだけではない、今季加入のアデミウソンの起用方法ではないか?母国ブラジルでは各世代の代表に選出され活躍しているほどの超逸材を活かしきれていないもどかしさ、上位を狙うマリノスにとっては、これまでたったの1得点と、波に乗り切れない助っ人の不振は大きな痛手だ。

そのアデミウソンをワントップに置き、後ろに斉藤学、もう一人は、これまでレギュラーに定着していた兵藤ではなく、カップ戦要員として起用され続けていた藤本淳吾。

縦横無尽に相手ディフェンスを掻き回す斉藤と藤本を軸に、前めにポジショニングする両サイドバックの下平と小林がタイミング良く攻め上がる。ダブルボランチの中町と三門も積極的に攻撃に顔を出し、これまで孤立しがちなアデミウソンは、水を得た魚のようにチャンスに顔を出し続けた。そして試合は早々に動く!

前半10分、楢崎のミスキック気味のフィードをかっさらった斉藤学が、そのままドリブルで切り込み中央へクロス、フリーで抜け出したアデミウソンがドンピシャズドンの先制ゴール

▼アデミウソン今季2点目!
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先制を許したグランパスは、相手のコンパクトな陣形に、持ち前のスピーディーな展開を見せることができず、ボールの失いどころも悪い。グランパスは試合の流れを掴めない。そして前半ロスタイム、この試合二枚目のイエローカードで田中が退場。迎えた後半、疲れの見える川又を早々に諦め、前がかりに攻撃を繰り出す10人のグランパス。

一人少ないハンデキャンプを背負うグランパスは、闘莉王の攻め上がりも中途半端に、なんとか相手ゴール前までボールを繋ぐも小林にクロスをカットされる。小林はそのままサイドを駆け上がり藤本から再びボールを受け中央にクロス、後方から駆け上がった中町がフリーで合わせて余裕の追加点。マリノスが2ー0で勝利!スコア以上の圧勝に終わった。

数字以上の収穫

暗中模索のマリノスが得たもの、それは勝ち点3以上の収穫。新システムがもたらしたのは、規律ではない、自由ではないだろうか。個を活かす自由。個を解き放つことで生まれるアイデア。怪我の影響で欠場したラフィーニャに変わりワントップに入ったアデミウソン、システム変更により、効率良くボールを奪取し、攻守の切り替えのスピードを高めることに成功したマリノスですが、その象徴的存在が、前線から献身的に動き回るアデミウソンだったのではないか。

ようやく飛び出した今季2点目のゴールも鮮やかだったが、その活躍に物足りなさを感じているのは、当然、筆者だけではないだろう。この日の勝敗で、7、8位と中位に並んだ両チームだが、とはいえ、ぶっち切りの強豪も皆無なのが、今季のJリーグだ。アデミウソンが得点ランク上位に顔を出す頃には、おそらくマリノス優勝争いをしているに違いない。

勝村大輔

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