We are Reds !!
We are Reds !!
タイムアップと同時にスタジアム中に木霊したサポーターの大合唱に、鳥肌が止まらなかった。
ACL 1次リーグ 浦和レッズvs広州恒大
▼真っ赤に染まった埼スタにアジア王者を迎えた。
浦和レッズ 1-0 広州恒大
「10年に一度の好ゲームだった。」試合後のインタビューでミシャ監督が語った通り、攻守の切り替えが早く、球際も激しい。両チームから醸し出す張り詰めた空気感は、90分間休むことなく続いた。
「サッカーの世界は、全てがお金で買えることはできない。」ミシャはこうも続けた。大金をばら撒いて世界中からトッププレーヤーを買い漁る、中国サッカーを皮肉った表現を敢えてしているのであろう。
狙い通りの形でゴールを奪い、守備に身体を張り続けもぎ取った会心の勝利の後だからこそ、このコメントに真実味が帯びる。
そう。いくらスター選手を寄せ集めたからといって、全てのゲームに勝つことはできないのだ。
サッカーはある意味、即興のスポーツである。瞬時に変化するシュチュエーションに対して、如何に最良の判断を下すか。ここで言う最良とは無難な選択ではない。
相手の意表を突く、相手の裏をかく、相手の隙を伺う、スター選手と一流選手の大きな違いは瞬時に放つ事ができる閃きである。
確かに、個のチカラに委ねる部分もある。コレもサッカーの一部だ。
しかし、サッカーは11人のプレーヤーが1つのチームとしてプレーするスポーツである。たとえ相手の方が能力の高い選手だったとしても、一対一で難しいのであれば、2人がかりで対応することもできるし、もし一対ニでも敵わないのなら、それ相応の対処をすることができる。
サッカーは、策を用いて相手と対峙することができるチームスポーツなのである。そして、その策を円滑に遂行するためには、選手同士のコンビネーションが欠かせないのだ。
個に委ねない。チーム一丸を如何に創り出すか。ミシャ監督のチームマネージメントは、ビジネスにもそのまま当てはめる事ができる。
▲直近の甲府戦から先発メンバーを2名入れ替えた。
この日の浦和は、このコンビネーションが冴え渡っていた。まず、ミシャは、4日前の甲府戦から先発メンバー2人を入れ替えて臨んだ。
トップには前線の肉弾戦に強い屈強のズラタンを起用し、右サイドには、ドリブラーの関根を起用。武藤が挙げた先制ゴールが生まれたシーンは、正にこの右サイドから生まれたものだった。
更に浦和は、広州の中心選手、パウリーニョとジャクソン・マルティネスらを、アンカーの阿部を中心に、遠藤が絶妙なリカバリーに動き回り、槙野と森脇が捨て身のブロックを築き、無失点に封じ込めた。
全ては、トップからのメッセージが明確であるかということに集約される。メッセージとは指示ではない。ましてや選手に委ねることでもない。選手同士のコンビネーションを高めるための指針なのだ。
そして何よりも浦和には、スタンドを真っ赤に染める多勢のサポーターがいる。この日のレッズサポーターは、まさに臨戦モードだった。震え上がるようなチャントの大合唱に、味方選手への叱咤激励、そして、スタンドに響き渡る相手への大ブーイング。チーム一丸を後押ししたのは間違いなくこの素晴らしきサポーターだったのではないだろうか。
たとえアジア王者だろうとも、たとえスター選手を集めようとも、この日の広州恒大は、レッズワンダーランドの客人に過ぎなかった。