ナビスコ杯 アルビレックス新潟vs川崎フロンターレ
▼3年ぶりのビッグスワンにやってきた。
新潟 0ー5 川崎
応援していたチームが無惨に負けていく姿を見るのは初めての経験かもしれない。そんな貴重な経験をココ、アルビレックス新潟の本拠地”ビッグスワン”で体験することになろうとは、夢にも思わなかった。
0ー5というスコアを見て?瞬時に思い出したのが、つい先日行われたロシアW杯アジア二次予選 日本代表vsアフガニスタン代表戦だ。自力で圧倒的に上回る日本相手に対して、執拗な粘りを見せるも終盤に敢え無く力尽きた、この日のアフガニスタン代表の戦いぶりを善戦だと労う同国のサポーターも多かったと思う。
▲リーグ戦とは大幅にメンバーを変更をして臨んだアルビ・イレブン
しかし、この対戦と同じスコアで敗れた新潟を、ボクは労う気にはなれなかった。対戦相手の川崎との力の差が、そこまで開いてるとは到底思えなかったからだ。
確かに、順位に一喜一憂するリーグ序盤の攻防の最中に、カップ戦に総力を挙げれるチームなどない。どのチームも選手の疲労を考慮して、レギュラーメンバーの殆どを入れ替えて試合に臨まなければならない。台所事情はどのチームも同じはずだ。
なのにどうしてこの日の新潟は大敗を喫したのだろうか。「やる気ねーんじゃねーの?」ボクがそう感じたのは、空席が目立つバックロアーからの観戦だったからであろうか。おそらく、この感覚は気のせいではない。
川崎の選手と比べ、新潟の選手のモチベーションは明らかに低かった。いや、もしかしたら、川崎の選手のモチベーションが高過ぎたからかもしれない。
特に、全5点中4点に絡み、この日2得点1アシストを記録した25番狩野の奮闘ぶりには目を引かずにはいられなかった。横浜FMから柏、そして川崎へと渡り歩く29歳、往年のプレイヤーから感じたのは、並々ならぬ気迫だった。
モチベーションが上がりづらい状況の中、チームにとって最も必要なのは、監督から飛ばす檄ではない。現場で孤軍奮闘するファイターの背中から放たれる闘志である。このようなファイターの出現の有無が勝敗の分かれ目だったのではないだろうか。
▲この日の新潟の戦いぶりに、サポーターは落胆した。
この状況はビジネスシーンにも直ぐさま置き換えることができる。
監督を経営者、キャプテンを店長と置き換えた場合、ここでいうファイターとは、トップセールスマンと成り得る可能性が高い、高いポテンシャルを持ち合わせているプレイヤーを指します。
但し、ここで注視したいのが、このプレイヤーのモチベーションの源である。ファイターのモチベーションは、チームの勝利ではない、個にあるという点だ。
一個人が己の目的のみを達成すべく奮起したチカラが、結果として、他に好影響を与える場合がある。当然、ケースバイケースであることを忘れてはいけない。
そういった意味でも、この日の川崎の指揮官 風間八宏の采配が的中したことを認めざるを得ない。奮起を促す状況下に選手の身を置いたこと、そして、その選手たちに自由を与えて一気に解き放ったこと。選手のモチベーションを巧みにコントロールした川崎のチームマネージメントは見事だった。