それにしても、つまらない試合だ・・・。
これまでの日本のお家芸だったパスワークも影を潜め、個の輝きもない、相手ゴールを脅かす決定機もない、あったのは2つの凡ミス。結局そのミスが致命傷となり0−2、アギーレJAPANの初陣は、強豪ウルグアイ相手に完敗に終わりました。
既定路線を活かす戦術を敷いた前任のザッケローニ監督と違い、新監督アギーレは、まず、チームを破壊するところから始めた。
アギーレ監督の意図は明白でした。それは起用した先発メンバーを見れば一目瞭然です。ワントップに代表未経験の長身若手FW皆川(サンフレッチェ広島)、ボランチには、田中順也(スポルティング)と細貝(ヘルタ・ベルリン)そしてアンカーには、森重(FC東京)センターバックは、吉田(サウサンプトン)と坂井(サガン鳥栖)の初コンビ、戦術の軸となるセンターのポジションを大幅に入れ替えた。
4−3−3というシンプルなシステムの採用には、全員守備、全員攻撃という明確なコンセプトが伺えたが、試合を組み立てるゲームメーカーを使わなかったことが、大きな驚きでした。
これまでの日本代表には、中田(英)や中村(俊輔)、前代表では遠藤のような一本のパスで試合の流れを変えられるゲームメーカーがいました。しかし、時に、ゲームメーカーの好不調が大きくチームに影響を与え、戦い方が一辺倒になってしまうという弱点もあった。アギーレ監督は、センターに位置する選手を敢えて、本職とは違うポジションで使ったこと、柔軟に動き回るセンターは、時に3−4−3に変わり、時に4−4−2と、相手の出方次第で、まるでカメレオンのように、変幻自在に色を変え、長短のパスを織り交ぜながら相手ゴールに迫っていく、そんなイメージを持っていたのであろうか?
低調な攻撃に終始したウルグアイ戦でしたが、この試合で起用されなかったゲームメーカータイプの柴崎(鹿島アントラーズ)が、どのように起用法されるのか?次戦、ベネズエラ戦に注目です。
そして、もう一つ、気になるのは、本田(ACミラン)と岡崎(マインツ)の起用法というより、両選手が配置されたポジションの意義でした。前W杯ブラジル大会では、このポジションに、ウイングタイプの選手を起用するケースが多く見られました。足が速く、ドリブルの得意な選手です。ところが、本田、岡崎、両選手とも、ウイングタイプとは決して言えないし、ウルグアイ戦では、両選手の持ち味、本来の存在感がまったく感じられなかったことが気がかりです。「個」で打開するサッカーは、もう終わってしまうのでしょうか?もしかしたら、この両選手が並ぶことは、この試合が最後かもしれない。
全員守備、全員攻撃、個を捨てた戦術、この試合、アギーレは、一つの方向性を示した。その方向性が正しいかどうかは別として、全チームを破壊したことは、評価に値する。
まずは、アギーレを信じよう。日本サッカー全体が一つの方向に向かうこと、それが今、最も大切なこと。どの世代、どのプレーヤーでも平等にチャンスはある!!
確かに試合は、つまらなかった。
それでもアギーレは、日本サッカーに強烈なメッセージを残していった。
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