コスタリカ旋風再来ならず。ロスタイム弾2発にみるブラジルの勝負強さ。〈ロシアW杯9日目〉
忘れもしない、4年前のブラジル大会で北中米コスタリカが優勝候補イタリアを破るジャイアントキリング。ボクは偶然その場に居合わせていた。余裕たっぷりにボールを保持する格上のイタリアが、時間の経過とともに焦燥感に募らせていく。鋭いカウンターで勝機を逃さなかったコスタリカが虎の子の一点を守り切り見事イタリアに勝利。ベスト8まで勝ち上がった同国はブラジル大会で旋風を巻き起こした。
今大会もGKケイロル・ナバス(レアル・マドリード所属)を中心とした強固な守備陣は健在だ。優勝候補ブラジルとの第2戦に挑んだコスタリカは0-0、スコアレスのままロスタイムに突入。スイスとの第1戦をドローで終えたブラジルは追い込まれていた。
今大会は番狂わせが多い大会だという声をよく耳にする。優勝候補アルゼンチンがアイスランドに引き分ければ、優勝候補最有力のドイツがメキシコに破れてしまうという波乱、南米の雄コロンビアとの初戦に勝った我らが日本代表の勝利も同様に囁かれていることだろう。
強豪相手に守備を徹底し、ボールを奪ってから一気に攻撃を加速する。ドイツ戦で披露したメキシコの鮮やかなカウンターは今大会ベストゴールに選ばれても遜色ない。ところが今大会のコスタリカは粘り強い守備はさることながら、得意のカウンターの威力は影を潜めている。初戦セルビア戦に引き続き、ブラジル戦でもゴールを陥れることはできなかった。
スコアレスで迎えた後半アディショナルタイム、ブラジルはついにコスタリカの固い守備網をこじ開ける。なりふり構わない散発にとどまらず一瞬の閃きで局面を打開する。一人がアイデアを想起すればまるでその場を空気を読むようにそのアイデアが周囲に伝播する。阿吽の呼吸がもたらしたコウチーニョとネイマールの2ゴールで、土壇場でコスタリカを翻弄、ブラジルの勝負強さが際立った試合だった。
ミネイロンの惨敗から4年が経った。ドイツに歴史的な敗北を喫したブラジル、プライドを傷付けられたサッカー王国ブラジルの逆襲劇がいよいよ始まった。
ロシアW杯 大会9日目
グループD ナイジェリア2-0アイスランド
グループE ブラジル2-0コスタリカ
グループE セルビア1-2スイス
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