サッカー馬鹿

2019.7.3

泥沼の5連敗も一点の曇りなく突き進むだけ。〈明治安田生命J1第17節 湘南0-2C大阪〉

 
明治安田生命J1第17節 湘南ベルマーレ0-2セレッソ大阪(BMWスタジアム/12821人)
51分 奥埜博亮〈C大阪)
83分 清武弘嗣(C大阪)
 
 
リーグ4連敗の最中行われた第17節、前半は持ち前の粘り強さで拮抗した展開に持ち込んだ湘南だが、後半開始早々の時間帯にアンラッキーな形で先制点を献上。その後、攻勢を強めるC大阪を前に成す術なく、83分に清武弘嗣に駄目押しゴールを決められジ・エンド。見せ場の少なかった湘南は3試合連続無失点、これで泥沼の5連敗となった。
 
勝つために必要なこと、それは「勇気」だと語っていた曹貴裁監督。
 
これまで断続的に出場していたセンターバックのフレイレをベンチに回し、代わりに大野和成を中央に置く。コパアメリカ帰りの杉岡大暉と負傷明けの梅崎司を強行出場。曹監督の積極采配はこれだけではない、これまで安定的な活躍を見せてきた山崎凌吾を前半で諦めるなど、何とかして流れを変えたい、そのためのキッカケを模索しているようにも映る。
 
しかし、その勇気は空転した。前線から果敢にプレスを仕掛ける、奪ったボールをワントップの山崎に当て、その瞬間、後方の選手たちが次々にゴールに迫る。頑としてこれまで通りのスタイルを貫く湘南に対し、清武を中心に巧みなポジショニングとパスワークで相手のプレスをいなし、3バックシステムの急所であるウイングバックの背後を突く。C大阪の試合巧者ぶりが際立っていたゲームだった。
 
試合中、ビルドアップの際に相手に引っ掛けてしまう場面が多く見られたが、それは湘南側のミスではなく、相手の図中にハマっている証拠でもある。影を潜めたプレッシングも同じことが言える。走れないのではなく走らせてくれないのだ。
 
ほんの僅かの差が流れをグッと引き寄せる。それは強い気持ちなのか、それとも緻密な戦術なのだろうか。「敗戦を怖がって自分たちの積んできたものを下から一気に壊して、また違う積み木を組み立てる気はない」曹監督は強気な姿勢を崩さない。「今こそ試される時である」と選手たちの奮起を促す。
 
目に見えないチカラがある。これまでの湘南が歩んできた道のりを振り返れば、確かにそれは存在している。今一番大切なことは、「選手を信じること、一点の曇りなく突き進むこと」だと曹監督はつづける。
 
生きていれば誰にだって悪い流れに巻き込まれることはある、そう自分に置き換えた時、気づいたことがあった。それは悪い流れはいつか断ち切れるということ。大切なのはその間に何を信じ、どう積み上げていくのかということ。自分と徹底的に向き合った時、目に見えないチカラは湧き起こりこれまでの不振が嘘のように爆進する。これは誰だって経験してきたはず。だから大丈夫。今目の前に立ちはだかる疑心暗鬼を打ち負かし、ただひたすらに信じつづけるしかない。

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