サッカー馬鹿

2019.7.10

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長くて暗いトンネルの先に見えた光〈明治安田生命J1第18節名古屋0-2湘南〉

 
明治安田生命J1第18節 名古屋グランパス0-2湘南ベルマーレ(パロマ瑞穂スタジアム/14651人)
5分 齊藤未月(湘南)
82分 金子大毅(湘南)
 
試合終了のホイッスルが鳴ると同時に湘南の選手たちが次々にピッチに倒れ込む。精根尽き果てた彼らの姿から、この試合に賭ける意気込み勝利への執念を感じた。
 
その想いは曹貴裁監督も同じだった。「僕も苦しかったですけど、選手たちが一番苦しかったはず。」試合直後のインタビューでは感極まった様子で言葉を詰まらせた。
 
リーグ5連敗、先に行われた天皇杯ではJFL(4部リーグ)所属のヴィアティン三重にまさかの大敗を喫した。
 
トップリーグで凌ぎを削る彼らのプライドはズタボロに剥がされたに違いない、これまでの自分たちのやり方は間違っていたのだろうかと、疑心暗鬼に陥ったことだろう。
 
奇しくもこの日の対戦相手である名古屋に至ってもチーム状況は湘南と酷似していた。公式戦6戦未勝利、こちらも先に行われた天皇杯では大学生(鹿屋体育大)相手にジャイアントキリングを食らったばかりだ。
 
この試合を「流れを変えるキッカケにしたい」その思いは両者共に抱えていたはず。果たして試合の明暗を分けたのは何だったのだろうかと考えてみた。そのひとつは”自分たちの弱さを認めたこと”ではないだろうか。
 
破壊力抜群の名古屋攻撃陣に対し28本のシュート(枠内18本)を打たれながらも、ギリギリのところで身体を投げ出しピンチを切り抜ける。粘り強さを発揮した守備陣の集中力は最後まで途切れることなくクリーンシートで試合を終わらせることに成功した。
 
「まだまだ技術的に乏しいものがある中で、努力すればなんとか追いつけることはそういうところ」曹監督は自らのウィークポイントを認めながらも、努力すべき点を明示し選手の奮起を促した。
 
さらに曹監督は「奪った次の一つ目のボールを味方に入れて飛び出していくというのは、我々の牙だと思っている」と語っている。相手に押し込まれることを想定しつつ、虎視眈々と反撃の機会を伺っていた。2つ目のポイントは”強みの再確認”である。
 
「高い位置でボールを奪えるというのはチームの生命線だと思う。」こう語る武富孝介が最大回数のスプリントをこなせば、「もう一度原点に戻って走ってハイプレッシャーをかけてみんなで戦う、それを繰り返してやっていこう。」梅崎司は両チーム合わせて走行距離一位を記録した。
 
前線から積極果敢にプレスを仕掛ける、ボール奪取から一斉に相手ゴールに矢印を向ける。湘南最大のストロングであるショートカウンターは持ち前の圧倒的な走力がベースとなる。「それこそが僕らの原点」だと選手たちは口を揃える。
 
「連敗して自信を失った部分もありましたけど、自分たちは何ができてここまできたのかということを思い出した。それは球際であり、前からいくこと、ゴール前で身体を張るという部分のベースとなっている。温度を下げてはいけないと思った。今日はそれが最後までできたと思います。」ビッグセーブでチームを救ったGK秋元陽太はこう試合を振り返った。
 
自分らしさとは何か?あくまでも想像の範囲内だが、この苦境の最中、選手たち各々が徹底的に自分と向き合ってきたのだろう。それは弱さであり、強みであり、真の姿を受け入れたことで底力は発揮される。「あの時の苦しさが糧になった」こう笑顔で振り返る時がいずれ訪れるに違いない。
 
湘南ベルマーレは長く暗いトンネルを抜け出した。

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