さて浦和戦だ。
浦和戦と言えば5月17日に行われた第12節、世紀の大誤審を覆すあの大逆転劇は今もなお記憶に新しい。それだけではない、リーグ戦において21年ぶりに勝利した昨季のアウェー戦以来、湘南は浦和に対し直近の対戦で3連勝を収めている。浦和は相性の良い相手である、そう言ってしまってもおかしくはない。
ところが、あの大逆転劇を境に湘南はリーグ戦5連敗、天皇杯に至っては格下と目されていたJFL所属のヴィアティン三重に屈辱の敗戦を喫するなど、公式戦7戦未勝利と不調をきわめた。浦和戦は常に劇的であり試練でもある、そんな印象を与えている。
そして迎える今節の浦和との対戦は、同勝点チームの争いであり順位に直接影響を及ぼす試合となる。
しかし順位こそ拮抗している両チームの対戦だが、この試合を迎えるにあたり互いのコンディションは対照的だ。
浦和はACL準々決勝1stレグ上海上港とのアウェー戦から中3日、そしてこの後に中2日を置いてルヴァンカップ準々決勝鹿島戦を戦わなくてはならない。過密日程の最中での対戦だということ。一方の湘南は万全のコンディションで試合に臨むことが可能だ。
相性の良い相手であることに加え日程的にも圧倒的に優位な状況で迎えるホームゲーム。湘南の敵はまさに己にあると言ってもよい。
パワハラ疑惑によりチームを離れている曹貴裁監督に代わり高橋健二コーチが指揮を執る湘南は以来1分1敗といずれも勝利していない。不慣れな指揮であることは言うまでもないが、試合後のコメントの中でも、メンバー構成や戦術に工夫はほとんど見られず、選手個人の奮起を促すなどメンタル面でのサポートに尽力している様子だ。今後の道筋は未だ定まっていないだけに、いち早く勝利することがチームにとってもクラブにとっても是が非でも果たさなくてはならない命題であろう。
湘南の予想スタメンを下記に並べてみた。
[3-4-2-1]
GK 秋元陽太
DF 山根視来 坂圭祐 大野和成
WB 古林将太 杉岡大暉
MF 齊藤未月 金子大毅
FW 松田天馬 山崎凌吾 梅崎司
GKは不動の秋元、最高峰からの鼓舞でチームの士気を高める。
3センターバックはセットプレーでも抜群の存在感を残している坂を真ん中に、左に出場停止明けの主将 大野が入り、右は前回対戦で鮮烈ゴールを決めた山根を置く。
ドイスボランチは若き二人、ボール奪取能力の高い齊藤未月と攻撃の起点となるパスの配球役を担う金子が相応しいだろう。金子に代わり松田のポジションをひとつ下げるリーグ序盤に機能した形をとることも一案だが、前節仙台戦で同点ゴールを叩き込んだ金子の2戦連続弾に期待したい。
ウイングバックは大野の復帰により杉岡が定位置に戻り、逆サイドは好調な古林将太を推したい。前節はリーダーシップを買われ岡本がスタメン出場したが、長期離脱の影響もあり本調子とは言い難い。鈴木冬一の右サイド起用も一案だが浦和が3バックを敷くことが前提ならば、相手の背後を取る動き出しが得意な古林が適任だろう。
ワントップには、もはや変えの効かない山崎のスタメンが濃厚だろう。その山崎のポストプレーに絡むのは、豊富な運動量が特長の野田隆之介ではなく古巣浦和戦に特別な感情を抱いている梅崎の出場を推したい。そして梅崎の相方には松田のスタメンが濃厚だが、前節、長期離脱から復帰した決定力が抜群に高い菊地俊介をどのタイミングで起用するかに注目だ。
どんなに難しい状況下でも目指すものは変わらない。走って走って走りまくる湘南スタイルはコンディションに難のある浦和にとっては最も嫌な対戦相手であろう。さらに高橋コーチにとっては3戦目の指揮となるが、これまで培ってきたスタイルの踏襲にとどまらず、自らの考えに従って思い切りの良い采配を期待したい。彼ならではの采配は必ずや相手にとっての奇襲になるからだ。
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