こんにちは 勝村大輔(@gunners5050)です。
この記事を書いているボクは、美容師歴史25年、人口20万の市内に20坪ほどの小さな美容室を営んでいます。お店はまもなく開業から15年目を迎えます。
先日に下記のツイートをしました。
やはり中規模サロンは今後の在り方を考え直す時期だと思う。
そもそも参入へのハードルが低すぎるも一因かもですね。https://t.co/S5qMxtFfTa
— サッカー馬鹿 美容師 勝村大輔 (@gunners5050) December 10, 2019
やはり中規模サロンは今後の在り方を考え直す時期だと思う。
そもそも参入へのハードルが低すぎるも一因かもですね。
このツイートのネタ元は下記のニュースです。
上記のニュースに添付されていたグラフを閲覧すると、
美容業の倒産件数は、2016年から4年連続で増加していることがわかります。しかも今年(2019年)は「167件」と過去最高の件数を示しています。
ただし、この「167」という数字は、美容室以外の理容室、エステサロンが含まれます。
倒産件数「167件」の内訳は下記のとおりです。
- 美容室(86件)
- 理容室(40件)
- エステサロン(17件)
ハタから見ると似たような業態に思われがちですが、上記3つの業態の各々が異なる事情を抱えています。
本記事では美容室事情について言及します。
淘汰はさらに進む
2019年、美容室の件数は過去最高の25万件を突破しました。
その数は増加の一途を辿っており、その一方で倒産件数も増えているといったところ。
問題はこの先です。
下記のグラフは、美容師免許取得者の数を表しています。
美容師免許の取得者は、昨年(2018年)こそ(昨年比3.9%)と微増を記録しているものの、
10年のスパンで俯瞰すると、今後、その数が増えていく見込みはかなり低い。
人材不足は想像以上に深刻です。
その証拠は、下記のグラフ 『高齢化の推移と将来統計』を見れば一目瞭然です。
今後は、高齢化と人口の減少が加速の一途を辿ります。
いまさら少子高齢化なんて、と思われるかもしれませんが、
このグラフが示す15年後の未来は、ピーク時の2010年と比較すると分かりやすいかもしれません。
- 15年後の人口は、ピークの2010年から1650万人減少
- 65歳以上の高齢者の割合は、2010年(23%)から2038年には(32.8%)になる。
ちなみに、1650万人という値は、現在の東京都の人口(1393万7664人)を大きく上回ります。
15年後の日本は、東京都の全人口分を凌ぐ人の数が減少するということです。
かなり危機的な状況です。
当然のことながら、美容室の淘汰はさらに進行するでしょう。
以上のことを踏まえると、下記の予想が立てられます。
- 高齢化に伴い美容師の定年が延びる
- 人材不足の影響で大型店が減少する
- ひとりサロンやフリーランスが主流になる
既にその兆候が現れています。
ここから先は、考察です。
高齢化に伴い美容師の定年が延びる
今後15年の間に、美容師の平均年齢は確実に上がります。
現在(2018年調べ)の美容師の平均年齢は「30.6歳」です。
この数字は129職種中、もっとも若い。
しかし、10年前の平均年齢「29.6」と比較すると、少しずつ高齢化が進んでいます。
この流れは加速の一途を辿るでしょう。
その追い風となるのが、前述した、美容師免許取得者の減少と、少子高齢化です。
特に高齢化は、美容室の倒産件数の増加の一因と考えられますが、
今後は消費人口の高齢化に従い、美容師の高齢化も加速することが予想できます。
いずれ、高齢美容師は顧客のニーズとなるでしょう。
人材不足の影響で大型店が減少する
今後さらに美容室の淘汰が進みます。
その大きな理由になるのが、人材不足です。
熾烈なリクルート合戦から、まずはじめに脱落するのは、中型店舗でしょう。
しかし、体力に勝る大型店の独占は、そう長くはつづきません。
なぜなら、働き方の多様化に伴い、美容師の価値観が変わりつつあるからです。
今後、大型店が生き残っていくには、教育に長けている、あるいは、面貸しや業務委託に対応するなど、多様な働き方への対応が求められます。
ひとりサロンやフリーランスが主流になる
美容室の倒産件数増加の傍らで、美容室件数が最高値を記録しました。
その一因に、ひとりサロンの増加が挙げられます。
現在(2019年)8万人にものぼるフリーランス美容師の存在も見逃せません。
こうした傾向は、いずれ主流になるでしょう。
なぜなら、美容師の地位向上に直結するからです。
美容師の最大のリスクは低賃金です。
- 美容師の平均年収は284万円
- サラリーマンの平均年収は441万円
(男性/521万円 女性/280万円)
(上記は、2019年11月に更新)
美容師の低賃金の理由と改善策の詳細は、下記の記事を参照してください。
上記の記事のとおり、低賃金の大きな要因に、美容師の生産性の低さが挙げられます。
その改善策として期待されているのが、近年、政府が推進している”働き方改革”です。
・残業廃止
・副業推進
・リモートワーク
・同一労働同一賃金
・週休3日制
これらは確実にサラリーマンの働き方を激変させるでしょう。
その一方で、美容業界とのギャップの拡大が必至です。
以上をもって、結論づけると、
・人海戦術による店舗拡大の無謀
・人材難とは無関係のひとりサロンが増加
・働き方が多様化し美容師の地位向上が実現
今後の美容師の働き方については、ぜひ、下記の記事に目を通してみて下さい。
Categories & Tags