格下相手にまさかのスコアレスドロー
▼指を噛むハリルホジッチ
(撮影 シミズ)
格下相手にスコアレスドロー。
撃てども撃てどもゴールが決まらない。23本の空砲を放ち続けた日本代表は、格下相手に得点を奪うことができなかった。
ロシアW杯アジア二次予選、我らが日本代表、初戦の相手はシンガポール。誰もが大勝を予想してたに違いない。しかし、前日の報道を見る限り、ハリルホジッチ監督からは、油断の欠片も感じない。選手もまた、しかりである。ピッチに並ぶ選手の表情からは、初戦特有の並々ならぬ緊張感が漂っていた。
先発メンバーは、負傷欠場の長友に代わる太田の他は、先日のイラク戦と同じ。ゴールキーパー川島、センターバックは、吉田と槙野。サイドバックに太田、酒井宏、ミッドフィルダーは、長谷部、柴崎、香川が流動的に動き回り、フォワードは右に本田、左に宇佐美、トップには岡崎が入った。
引いて守る相手に、日本代表はセオリー通りに攻撃を仕掛ける。遠目からのミドルシュートで相手ディフェンスを引き出し、ドリブル突破で相手を引き剥がす。得意のダイレクトプレーから裏を狙い、サイドから効果的にクロスを放り込む。悪くはない。いつゴールが生まれてもおかしくない状況は続いた。
なぜ日本はアジアで苦戦するのか?
▼闘争心剥き出しの表情の本田だが・・・
では何故ゴールは生まれなかったのか?その理由は、シンガポールの粘り強いディフェンスに他ならない。日本代表のあらゆる攻撃パターンは、彼らの想定を超えることはなかった。元アジア王者は、我々の想定以上に、他チームから研究され尽くされているだ。
果たしてこの日の日本代表は、相手の想定を超えていただろうか。むしろ、シンガポールこそが我々の想定を超えていたのではないか?ファインセーブを連発した相手GKの活躍がそれを象徴していたかのようだ。
想定外を演出するべく、ハリルホジッチは、大迫を投入してツートップに変更、ドリブラーの原口、スピードの武藤を投入。攻撃に変化をもたらす采配をみせた。しかし、それでも得点は生まれない。
不運と言ってしまえば、それまでだが、この日の日本代表には、意外性をもたらすアイデアが足りなかったのではないか。緊張感にはじまり焦燥感に支配されたチームにアイデアなど生まれるはずはない。
語弊があるかもわからないが、敢えて言いたい。今の日本代表に欠けているのは闘争心ではない。楽しむこと、遊び心を持つことだ。
もう一度言おう。日本代表は研究され尽くされている。あらゆる攻撃パターンも全ては相手の想定内なのだ。だからこそ、意外性、画期的なアイデアが必要であり、そのアイデアを生み出す源が遊び心なのだ。
本田の笑顔が見てみたい。
勝村大輔