J1 第3節 川崎フロンターレvs名古屋グランパス
▼試合の流れを変えた大久保の同点弾
川崎フロンターレ 3-2 名古屋グランパス
サッカには、足でボールを扱わなければならないというルールがあります。そのくらい知ってるかっ(笑)
ところがサッカーの試合中に、ラグビーさながらに、選手がボールを手で持ちながら走るシーンを見かけることがあります。
ゴールを決めた選手が、自らゴールネットに絡まったボールを拾い、センタースポットへ持ち帰る。そんなシーンだ。
1-2 川崎の1点ビハインドで迎えた75分、中村憲剛のクロスをヘッドでねじ込んだ大久保嘉人が演じたシーンと同じだ。
その選手の姿から放たれる”オーラ”が、時に奇跡を起こす事がある。
結局、大久保の同点ゴールで息を吹き返した川崎が、中村憲剛の決勝ゴールで名古屋を降ろした。
この日のゴールで、J1最多ゴール記録を更新した大久保嘉人。未だ代表への待望論を巻き起こすほどの実績を誇るベテランストライカーだが、彼は決してキャプテンマークを巻くタイプではない。
何故なら、ストライカーとキャプテンは、対義語だからである。ビジネスの世界でいえば、トップセールスマンと、現場責任者くらいの違いがあると言えば、分かりやすいのではないだろうか。
ストライカーは、得点を決めることが最大の仕事だ。「俺が点を取る!」「俺が試合を決める!」そんな彼らを指して、エゴイストと揶揄する者も多い。
しかし、どんなに素晴らしいストライカーがいても、パスを供給する者がいなければ、彼らはシュートさえ撃つことはできない。
それに、彼らが何点取ろうとも、得点数を上回る失点を喫してしまえば、チームは試合に勝つことはできない。
そこで必要になってくるのがキャプテンの存在だ。時に攻撃を促し、時に守に徹する、チームを統率しリスクマネージメントをする。各ポジションのプレーヤーが、それぞれの役割に集中できるか否かは、キャプテンの手腕にかかっている。
川崎フロンターレの場合、その役割を果たすのが、中村憲剛である。つまり、大久保がゴールを量産する背景には、二人の関係性が大きく影響しているのだ。
この関係性を表しているのが、先の大久保嘉人の行動である。その時、彼が放っていたオーラの正体は、紛れもない、”諦めない精神”だからだ。
お互いの役割を支え合う。大久保嘉人と中村憲剛の関係性が、首位を走る川崎フロンターレの強さを象徴している。
大久保嘉人はただのストライカーではない。当然、ただのエゴイストでもない。彼がチームを奮い立たせる起爆剤である限り、まだまだ彼はゴールを量産し続けるだろう。