今更ですが、今回は美容師という仕事について書いてみようと思う。(笑)
美容師は、鏡の前にお客さんを座らせて、お客さんの背後に立って、髪を切ります。
手元を見る視線、背後からお客さんを見る視線、そして鏡に映るお客さんを前から見た視線。様々な角度から眺めて、1つのデザインを作り上げます。
なので、正面から見ると真っ直ぐに見えても、上から見ると曲線になっているなんてこともよくある。
手元は常に真っ直ぐなんです。基本的にカットは真っ直ぐにしか切ることは出来ません。
真っ直ぐ切った髪が、手元から離れた瞬間にあらゆる方向へと動き出すわけで、その動きを計算に入れてカットを進めていきます。
カットが下手くそな美容師は、この丸が見えないんです。真っ直ぐに見えてしまうんです。上から見ると丸なのに、その美容師には真っ直ぐな線にしか見えません。
美容師の仕事に最も必要なのは、この丸を見極める視線。”柔らかさを感じること”なんです。
もしこの柔らかさを感じることができないのであれば、それは、何がカッコよくて、何処がカッコ悪いかが解らないということですから、デザイナーとして失格なんですね。
この俯瞰という視点を持ってるかどうかは、一流かどうかの境目でもあると思うんです。
サッカー選手も同じです。
今、自分がどの位置でプレーしているのか、今、相手は何処まで自分に迫ってるのか、今、この瞬間、自分がどんなシュチュエーションに置かれているのか。まるでスタンド上段から自分を眺めているかのように、それら全てを感じ取れる。一流選手には、この能力が備わっている。
学びも同じです。
その教えをどう受け止め、どう解釈するのか。そして、どう成果へと結びつけるのか。能力の高い人は、それらを俯瞰して捉えることができる。そして、いとも簡単に実践します。
実力者は皆、センスが良いんです。だから創り上げるデザインもカッコ良い。
ビジネスだって、もちろん同じです。
ブログやSNS、販促物も、1つの視点に過ぎません。どんなお客さんを招いて、どんな風にお客さんを喜ばせて、どうやってまた来てもらえるようになるのか。ブログだって、POPだって、デザインを描くための1つのシナリオに過ぎないのです。
だから当然、素晴らしい出来栄えのカットをしたからといって、それだけでお店が繁盛するはずはありません。
もちろん、凄いオモシロイPOPを書いたからといっても、凄く伝わるチラシを作ったとしても、毎月ニュースレターを届けたとしても、お店が繁盛するわけはないのです。
SNSやブログ、お店の雰囲気作りとか、接客やサービス、そして技術や知識。これらを活用してどんなシナリオを描くのか。そして、どんなデザインを創り上げるのか。
そのためにあらゆる方向から物事を捉える癖をつける。そして良いもの、素晴らしいものにたくさん触れてセンスを磨く。
1つのことに執着するのも悪くはないよ。でも、ホントに全体を見てんのかって。
美容師にかけて、ビジネスをデザインしようって話でした。
それではまた。