サッカー馬鹿

2016.9.9

素晴らしきサポーターにタイサッカーの未来を想う。【ロシアW杯 アジア最終予選 タイvs日本観戦記】

W杯への道程は楽ではない。UAEとの初戦を落とした我らが日本代表は、第2戦タイとのアウェイ戦に臨んだ。そもそもボクらがタイ行きを選んだ理由は、”先ず勝てるであろう相手”だと決め込んでいたから。その油断はスタジアム到着後、一瞬にして掻き消されることになる。
0001 2決戦の舞台、ラジャマンガラ・スタジアム前広場は試合開始2時間前にもかかわらずブルー一色に染まっていた。先ず驚いたのは代表ユニフォームを着た圧倒的なタイサポーターの数だ。近年、東南アジア地区で圧倒的な強さを見せつけているタイ代表、それに伴い若者を中心にサッカー人気は急速に高まっている、という報道は決して誇大表現ではない。彼らから放たれるエネルギーに脅威を感じたのはおそらくボクだけではないだろう。
00000350,000人収容可能なラジャマンガラ・スタジアムは、その9割以上がタイ人で埋め尽くされていた。ボクたち日本サポーターはゴール裏にすらいることは許されず、メインスタンド端にまで追いやられた格好となり、両ゴール裏に陣取るタイサポーターのチャントを目の前で見せつけられることになる。
000004タイサポーターのチャントは、アウェイ側ゴール裏二階席を陣取るウルトラスが舵を取る。彼らがコールが叫ぶと、反対側のホームゴール裏のサポーターがそれに応えるようにコールを繰り返す。この連続技は次第にバックスタンドやメインスタンドにも波及して、スタジアムに一体感をもたらしていく。
0001 3コレだけでは終わらない。「一体何枚あるんだ?」っていうくらい、スタンドの其処彼処から巨大横断幕がおりてくるわ、コレオグラフィーまで出現するわで、タイの応援はともかく忙しい。
000002 2この完全アウェイな雰囲気の中に身を置いて感じたのは恐怖ではなかった。むしろ歓迎されているのではないかとさえ思う。最後に出現したドラえもんとマリオが描かれた横断幕を見ながら思わず微笑んでしまった日本人サポーターも少なくなかったのではないだろうか。
3333333 2ロシアW杯アジア最終予選
タイ代表0-2日本代表

肝心の試合だが、前半18分、酒井宏樹の高速クロスに原口が頭でドンピシャで合わせ日本が幸先良く先制するも、その後、中々追加点が奪えない。逆にカウンターから抜け出した10番にヒヤリとさせられる場面も幾つかあったが、スピード、テクニック、パワー全てにおいて上回る日本に付け入る隙はない。圧倒的に攻めてはいるもののフィニッシュが決まらない、決定力不足は相変わらずだが、後半30分、長谷部のパスから持ち前のスピードでディフェンスを置き去りにした浅野が追加点を挙げ試合を決定づけた。
222222222222確かに日本は強かった。しかし、その強さが圧倒的だったのかというとそうではなかった。アジア王者の風格はもはやそこにはない。でもコレはとってもいい事だとも思う。アジア諸国のレベルは確実に上がっている。それは事実だと認識すること。ハリルホジッチ監督はこれまで培ってきたサッカーをあっさりと捨てた。目の前の敵を倒すためには何が得策なのかを常に考えている。

例え相手が格下のタイだとしても、ハリルホジッチの意思は揺るぐことはなかった。潰し屋の山口蛍を起用したことや、左に前がかりの原口を置き、トップには岡崎ではなく若手の浅野を登用したこと。更に言えば、これまではあまり見られなかった本田の途中交代など。容赦ないチームマネージメントこそ今の日本に必要ではないだろうか。
1111111そして最後に、敵であるボクたち日本人を快く歓迎してくれたタイサポーターの皆さんにこの場を借りてお礼を言いたい。彼らが示したサッカーを楽しむ姿勢は、更にタイサッカーを盛り上げていくだろうし、多勢のサポーターを携えたタイ代表は、今後益々強くなるに違いない。共にアジアサッカーを盛り上げよう!そしてまた会おう!

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