「ここで負けたらもう終わり。そのつもりで戦った。」そう語っていた菊池大介の言葉通り、この日のBMWスタジアムには、独特の緊張感があった。
J1 2nd 第12節 湘南vs福岡 (BMWスタジアム)
年間順位最下位の福岡を迎え討つ、その1つ上の順位の湘南。共に降格圏脱出が厳しい両チームの対戦。湘南だけでなく福岡にとっても”負けたら終わり”対戦となった。
試合は早々に動いた。キックオフのボールを右に展開した福岡、そのままスルスルとペナルティーエリアへ進入を許し、放ったクロスがディフェンダーの手に当たりPKを献上。開始1分で福岡に先制を許してしまう。
最悪のスタートを切った湘南だが、その後も福岡のアグレッシブなプレーに翻弄され、絶対に与えてはいけない追加点を奪われてしまう。15分、平井のスーパーミドルで2点差に広げられた。
その後も幾度となく訪れた決定機を決めきれない湘南を他所に、福岡にそのまま逃げ切られタイムアップ。0ー2で湘南は負けた。
J1生き残りをかけた戦い、その緊張感は一瞬で途切れ、余りにも呆気ない幕切れとなった。
この敗戦で10連敗、年間順位最下位まで落ちてしまった湘南。残り5試合を残すものの、降格圏脱出までの勝ち点差は8。この日の敗戦はまさに終戦に値する。
この日の湘南の出来は酷かった。サポーターが口々にこう語っているのだから、そうなのであろう。持ち前のアグレッシブさが感じられない。凡ミスが絶えない。見るに耐えないプレーに失笑さえ飛び交っていた。
もうこうなれば、開き直るしかない。暴言かもしれないが、本来の湘南スタイルはこんなもんじゃないから。とにかく残り5試合、諦めないという境地ではなく、ただただ意地を見せて欲しい。普段は、ブーイングもなく、あたたかい声援を送り続けているベルサポも、この日ばかりは、目の前の戦いぶりにかなり憤っていたのが印象的だった。