サッカー馬鹿

2018.7.3

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3度目のベスト8への道が閉ざされた今、改めて日本と世界との”差”を考えてみる。<ロシアW杯18日目 ベルギー3-2日本>

3度目のベスト8への道が閉ざされた今、改めて日本と世界との”差”を考えてみる。〈ロシアW杯18日目 ベルギー3-2日本〉

 
負けた、悔しい、それでも世界の強豪国相手に勇敢に立ち向かった彼らを誇りに思う。開幕直前の監督交代、ベテラン勢の復帰選考、そして直前の強化試合での大不振。彼らを取り巻く逆風は相当なものだったはず。それにもかかわらず結果を出しつづけた。そしてあと一歩のところで快挙を成し遂げることができなかった。
 
日本代表がノックアウトステージを戦うのは通算三度目となる。一度目は2002年日韓W杯まで遡る。当時は開催国の利が生かされ、グループ分けに恵まれ初のノックアウトステージ進出を果たしたが同大会のダークホーストルコの前に敗退。二度目は2010年南アフリカ大会、下馬評を覆す勢いでGLを勝ち上がった日本でしたがPK戦の末パラグアイに惜敗、またもやベスト16の壁に阻まれた。そして三度目となるベスト8へのチャレンジの舞台が整った。
 
ロシアW杯ノックアウトステージ1回戦、FIFAランク3位、優勝候補にも名を連ねる強豪ベルギーとの対戦に臨んだ我らが日本代表は試合序盤は失点のリスクを回避、慎重な試合運びで前半をスコアレスで折り返した。ここまではプラン通りの試合運びを展開していたのではないかと想定できる。
 
後半に入ると、じわりじわりと狙いつづけていた形が一気に結実する。開始3分、柴崎が相手ディフェンダー二人を極限まで引きつけ最終ライン背後を狙いスルーパス。裏に抜け出した原口がキックフェイントからGKの立ち位置を冷静に見極め、右足でサイドネットに突き刺し日本がまさかの先制!
 
さらにその4分後、追加点が生まれる。ペナルティーエリア中央やや外の位置で香川とのスイッチでボールを受けた乾が右足一閃、無回転の弾道は名手クルトワの両手をかすめゴール右隅に吸い込まれた。今大会ベストゴールにノミネートされても遜色ない美しいゴールだった。
 
「勝った!」少なくとも試合を観ていた多くの人はそう思ったに違いない。しかしボクは残念ながらそういう気持ちにはなれなかった。
 
サッカーの世界において2-0という状況はそのあとの試合の進め方が難しいと言われている。その理由は1点を返された時点で形勢が一気に逆転する恐れがあるからだ。もし仮に1点を返され2-1となった場合、取られた方は精神的に追い詰められ、取り返した方はさらに勢いが増す。結果、逆転を許してしまうというケースは珍しくはないからだ。
 
残念ながら日本はそういう状況に陥ってしまった。2点のビハインドを取り戻そうと猛攻を仕掛けるベルギーは一気に2枚の交代カードを切る。身長196センチのフェライニと左サイドの切り札シャドリを投入。その直後に日本は与えたくなかった1点を献上してしまうことになる。
 
69分、乾のクリアーミスからボールが右サイドに流れ、そのルーズボールをフェルトンゲンがヘディング。そのボールがそのままゴールに吸い込まれてしまう。一見、アンラッキーな失点にみえたこのシーンだが、もしフェルトンゲンをマークしていた酒井宏樹が競り合っていたら、左右に振られた時のGK川島のポジショニングの悪さを含め、些細なミスが織り成す失点となってしまった。
 
勢いを取り戻したベルギーはその5分後、左サイドに流れたアザールが長身のフェライニにピンポイントクロス。身体能力に物を言わせたベルギーにすぐさま同点に追いつかれてしまう。嫌な予感は的中してしまった。
 
試合を振り出しに戻された日本は81分、ベルギー同様に一気に2枚のカードを切り形勢逆転を試みる。先制点を挙げた原口に代えて本田、攻撃の要、柴崎に代えて山口を投入する。二人の投入によりリズムに変化をもたらした日本は、一進一退の攻防戦の末アディショナルタイムを迎えた。
 
試合終了のホイッスルまでおそらくあとワンプレーではないか。このタイミングで日本はCKのチャンスを獲得した。ショートコーナーで時間を進め延長戦に備えるのか、あるいは、あくまでも90分間での決着にこだわるのか。キッカーの本田が選択したのは後者の方だった。その結果、ボールを奪い返したベルギーのカウンターを食らう羽目になる。圧倒的なスピードで日本ゴールに襲いかかるベルギーのカウンターは一級品だった。ラストワンプレーで膝をついたのは我らが日本代表の方だった。
 
“サッカーはミスのスポーツである。”記憶は定かではないが、確かカズ(三浦知良)選手の言葉だと記憶している。この試合に限らず、もし日本代表の現在地と世界トップクラスの壁があるとしたら、それは”ミス”ではないだろうか。ミスとは経験不足という言葉にも置き換えることができる。
 
Jリーグ開幕から25年、たった25年間で日本代表はW杯出場6回、GL突破3回を果たした。この戦績は出来過ぎではないかと思う。
 
この原動力となっているのは、やはり日本人選手の海外進出ではないだろうか。欧州トップリーグで活躍する日本人選手の数と比例するように日本代表は強化の一途を辿った。確かに、今大会活躍した吉田や香川、長友、酒井宏樹、乾、長谷部、大迫など、スタメンに名を連ねる選手のほとんどが欧州トップリーグに所属している選手で占められている。
 
しかし勘違いしてはいけない、欧州でプレーしているからといってすべての日本人選手が超一流選手の仲間入りを果たしたわけではない。今大会の中で最も印象深いのは個々の能力の差ではないだろうか。スピード、パワー、テクニック、全ての面で日本代表はベルギーに劣っていた。
 
ではなぜ日本代表がここまで躍進できたのかというと、それはスカウティング(分析力)であり、それに伴う綿密な戦術に他ならない。日本代表は個々の力では劣っていた、しかしチームとしては十分に戦えていたのだ。ただしこれまた勘違いしてはいけないのは、これは監督の手腕とは別物だということ。これまでたくさんの日本人選手は欧州トップリーグで活躍することができた。しかし日本人監督が世界の舞台で活躍した経験は未だかつてない。これが前述した経験不足に繋がっているのではないかと思う。
 
そして何よりも、日本が世界で勝てない最大の理由はサポーターの数ではないだろうか。ロシアの地に降り立ち痛感したことがある。それは列強国の試合には必ず本国から多勢のサポーターが駆けつけているということ。チームを愛するサポーターの数が日本に比べて圧倒的に多い。この数はサッカーへの関心度、つまり国内リーグの盛り上がりの差ではないだろうか。
 
四年後に向けて日本サッカーが克服すべき課題はJリーグの隆盛だと思う。四年に一度、突如として現れるにわかファンも有り難いが、週に一度スタジアムに駆け付ける熱狂的なサッカーファンが増えることが今後の日本代表強化への道しるべではないだろうか。

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