サッカー馬鹿

2018.7.25

得点女王から東京オリンピックへ。万能型ストライカー南野 亜里沙 好調の要因に迫る!<ノジマステラ神奈川相模原 南野亜里沙選手インタビュー>

得点女王から東京オリンピックへ。万能型ストライカー南野 亜里沙 好調の要因に迫る!<ノジマステラ神奈川相模原 南野亜里沙選手インタビュー>

ノジマステラが好調だ。プレナスなでしこリーグ2018は前半戦(第9節まで)を終え、ノジマステラ神奈川相模原は日テレ・ベレーザ、INAC神戸レオネッサに次ぐ第3位。首位日テレとの勝点差は1、INACとは勝点で並んでいるものの得失点差で追走、折り返し地点とはいえ快調に勝点を積み上げている。

この快進撃をいったい誰が想像しただろうか。昨シーズン、ノジマステラは底辺を彷徨っていた。リーグ8戦連続未勝利、土壇場で残留に踏み止まったチーム状態だったにもかかわらず、わずか数ヶ月間のオフで突如として首位争いを演じるまでのチームに変貌した。

なぜこれほどまでの変貌を遂げたのか、その答えを探るべく今回のインタビュー記事に登場していただいたのは、不動のセンターフォワードとしてチームを牽引する南野 亜里沙選手だ。彼女は先の試合(第6節 AC長野パルセイロ・レディース戦)でなでしこリーグ、チャレンジリーグ通算50ゴールを達成。ここまで6得点を叩き出し、浦和レッズレディース菅澤優衣香選手と並び得点女王をひた走っている。

ノジマステラはこれまで14得点、この数字は首位日テレと同数であり、昨シーズンの総得点まで残り3と迫っている。失点に至っては昨シーズンの32点に対して今シーズンは8にとどまっている。南野選手の言葉を紐解きノジマステラ快進撃の裏側に迫ってみたい。

現在リーグ得点女王、好調の要因は

――南野選手は現時点で6得点、浦和レッズレディースの菅澤優衣香選手と並んでリーグ得点王の位置につけています。今回ズバリお聞きしたいのは好調の要因です。なぜ点が取れているのか、昨季と現在とで何が変わったのか、教えていただけませんか?

(南野)正直なところ、あまり実感はありません。個人的には何も変わっていないように感じています。

 

――ノジマステラは昨季と比べてメンバーが大きく変わりましたよね?それに伴い、戦い方も変わってきている。

(南野)それはありますね。他チームのFWと比べても、私が特に何かが飛び抜けているようには思えないですし、チームの連携が高まってきていることで点が取れているという実感はあります。

 

――昨季はリーグ1部で初挑戦でした。成績はギリギリのところで残留を果たしましたが、その時はやはり1部の厳しさを感じましたか?

(南野)はい。感じました。2部でやっていた時は、点も取れていましたし、ステラが目指すサッカーができていましたが、1部に上がってからは自分たちのサッカーをやらせてもらえませんでしたし、個人的にも納得できるような内容ではありませんでした。個の力の差を感じましたね。昨季と比べて違いがあるとしたら、昨年一年を経験できたこと、今年に入ってから一気にメンバーが変わったこと、あとはやはり意識ですね。

 

――どんなふうに意識が変わったのでしょうか。

(南野)大野(忍)さんの入団による影響が大きいです。大野さんは点を取るためのアドバイスをしてくれますし、あなたが点を取るべき人だと言ってもらえたので、そのおかげでゴールへの意識が増したように感じています。

 

――大野さんは、南野選手から見てどんな人ですか?

(南野)すごく気にかけてもらっていて、アドバイスもたくさんしてもらえる。偉大さを感じますね。すごく優しいです。サッカーに対し真っ直ぐな人です。

 

――ノジマのサッカーも進化しているようにも感じますが。

(南野)そうですね。メンバーも変わって中盤を支配できることが増えてきました。それに、こぼれ球への反応やボールを失った直後の守備を意識的にやるようになりました。あとはサイドチェンジなどいろいろと。

 

――ノジマのサッカーは一般的には走力・ハイプレスというイメージがあると思いますが、そういったサッカーの中でFWをやることはかなりの重責ではないでしょうか?ある意味、一番走るポジションといっても言い過ぎではないと思いますが。

(南野)そうです。最初に私が行かないといけないので。

 

――そういう意味でも、このポジションは南野選手が担うべきポジションなのではないでしょうか。

(南野)確かに、そうかもしれませんね。

 

――通算50ゴールを達成して、現時点でリーグ得点王につけている、そろそろ代表入りへの想いは高まってきているのではないでしょうか。

(南野)昔から年代別の代表に入った経歴がないので、いきなりなでしこに入れるとも思ってないですし、今の代表選手の方が飛びぬけてスピードもあるし、身長もあるし、技術もあると思っているので、私が入れるとはあまり思ってはいません。実際には呼ばれてないですし、なでしこチャレンジ(合宿)にも呼ばれていないので、あんまり代表に対しての意識はありません。まずはチームで結果を残すことが大事だと思っています。

 

――代表選手の同じポジションの選手、あるいは目指している選手像、参考にしているプレースタイルはありますか?

(南野)ストライカーという意識が自分の中であんまりなくて、むしろゲームコントロールも関わりたいし、スルーパスも出したいし、その上で点が取れればいいと思っています。

南野亜里沙のルーツ

――次に南野選手のルーツについて話を進めていきたいのですが、まずはサッカーを始めた年齢ときっかけを教えてください。

(南野)小学校2年生の時にチームに入りました。お父さんがサッカーをしていたので、その影響ですね。小学校が女子のクラブで、中学生の時は男子のクラブチームでやっていました。それで高校は作陽高校です。

 

――岡山県のサッカー名門校ですよね。徳島から岡山に行く決め手はなんだったんでしょうか?

(南野)徳島で女子サッカーをやっていた先輩がほとんど県外に出たということもあり、徳島の高校自体があまりサッカーに力を入れてなかったので、やるからには県外に行ってやりたいという気持ちが強かったですね。

 

――なぜ、岡山だったのですか?東京や大阪という選択肢もあると思うのですが、大阪と徳島ではそれほど距離はないですよね?

(南野)そうですね。練習参加をさせてもらい作陽のサッカーに惹かれたからですね。それとBelle(湯郷Belle)に入れるというのが決め手でした。

 

――作陽高校は岡山湯郷Belleの下部組織の一つだったのですね。その時に初めてなでしこリーガーとプレーしてみてどんな感想を持ちましたか?

(南野)圧倒的なレベルの違いを感じました。国体でプレーした時、予選には宮間さんは出場しなかったのですが、本大会で宮間さんが加わって、一人の選手の力でこれほどまでにチームが変わることに驚きました。

 

――それからBelleには行かずに大学へ進学した。群馬県にある関東学園大学を選んだ理由は?

(南野)関東の大学でプレーしたいと探していたのですが、なかなか思うようになりませんでした。最終的に高校の監督から紹介書をもらって、関東学園の練習に参加させてもらいました。

 

――その大学時代にFWにコンバートされたのですね。

(南野)そうです。サイドハーフにサイドバックと、いろいろやらせてもらいましたが、大学3年の時にFWになりました。

 

――このコンバートがプロに行く大きなきっかけになったのではないでしょうか。

(南野)最初は私にはワントップは無理だと思っていました。体が大きくてボールを収められる、それでいてスピードで勝負できる、そういう選手がワントップの理想像だと思っていたので私には不向きだと思っていました。ですが当時の監督にFWというポジションに固執しないで、動き回る感じでいいと言われたので、その時からそんな感覚でプレーしていました。

 

――そしてノジマステラに入団した。その理由は?

(南野)環境が素晴らしいと聞いていて、すごく興味はありましたが、毎年2人しか入団できないという噂があったので私には無理だと思っていました。そしたら監督が声をかけてくれたんです。チームの雰囲気も良いし、その時はまだ2部でしたが、1部に上がるために一緒に頑張りたいなと思い決めました。

 

――環境が良いというのは?

(南野)サッカーに打ちこめる環境ですね。仕事の時間と練習の時間、その上、社員という括りで迎えてくれる。本当にありがたいと思っています。

 

――入団1年目の話になりますが、1年目は2014年、チャレンジリーグが2部扱いだった時ですが、リーグ戦22試合出場で15得点、最多得点ですよね。

(南野)そうなんですか?

 

――あまり気にしないんですね。(笑)2015年はリーグ2部に昇格して21試合出場で13得点、大活躍じゃないですか!

(南野)そうですかね、あまりわからないです。

 

――通算50得点というのはいつ頃知ったのですか?

(南野)トレーナーの人に「50得点まであと3点だよ。」と言われて。その時に初めて知りました。それに、そんなにすごい記録だとは思っていないですしね。ただ、得点を決めると、それをいつも新聞でおばあちゃんが確認してくれていて、「今日も入れたんだね。」と電話をくれます。それがとっても嬉しいですね。

得点女王→東京オリンピック

――今後の目標をお聞かせください。

(南野)今シーズンだったら、狙える位置にあるというのもありますが、得点女王になりたいです。そのためにはチームの調子が良いというのが大前提ですけどね。

 

――今シーズン、得点女王取れれば東京オリンピック出場もあるのでは?

(南野)そうですね。そしたらもう実家は大騒ぎになると思います。

 

――最後に今後どんなキャリアを積み重ねていきたいですか?

(南野)ここまでサッカーを続けさせてもらったのも、大学に行かせてもらったのも家族ありきだと思っているので、家族がまだ応援してくれているので、そこはやり遂げたいと思っています。

 

――本日はお忙しい中ありがとうございました。

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南野 亜里沙(みなみの ありさ)

1991年11月26日(生まれ)

出身地:徳島県板野郡板野町

ポジション:フォワード

利き足:右足

背番号:11

所属:ノジマステラ神奈川相模原

 経歴:板野プリマヴェーラFC→プルミエール徳島→岡山県作陽高校(2007-2009)→関東学園大学(2010-2013)→ノジマステラ神奈川相模原(2014-)

 

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