令和最初の国際Aマッチに臨んだ日本代表は格下トリニダード・トバゴ相手に21本のシュートを放つも得点は奪えずスコアレスドロー。見せ場の少ないゲーム展開に「最後まで観てられなかった」という声が聞こえてきそうな、退屈な90分間だった。
批判の矛先は森保一監督に向けられた。
この日ピッチに敷かれたフォーメーションはこれまでどおりの[4-2-3-1]ではなく、森保監督就任以来初の[3-4-3]を採用。この形は森保監督がサンフレッチェ広島時代に登用していた布陣であり「このタイミングで試してみたかった」と語った。しかし、このチャレンジは空転した。そもそも準備期間が少ないという理由は差し引いても、ピッチ上の選手たちは”形”に捉われ本来のプレーを発揮することが出来なかった。
3バック採用は失敗だったのか。
3バックシステムとは基本的に3人のセンターバックが守備の大半を引き受け、攻撃に人数を割くことができる攻撃的なシステムである。Jリーグでも数多くのクラブが敷いている布陣だが、世界の強豪国相手には到底通用しない。これが大方の見方だったはず。それなのになぜ採用に踏み切ったのか、理由は2つ考えられる。
ひとつは、世界に通用する日本人センターバックが育ったことが挙げられる。この日はコンディション不良のため召集が見送られたがイングランドで活躍する吉田麻也をはじめ、この日センターバックを任された昌子源と冨安健洋はヨーロッパを主戦場としており、彼らの活躍が世界で通用する証となっている。
もうひとりのセンターバックとしてピッチに立った畠中慎之輔はJリーグクラブ(横浜F・マリノス)所属の選手だが屈強なフィジカルは他の二人に引けを取ることはない。フィジカルが弱点なのは過去の話、日本には世界と互角に渡り合えるディフェンダーが数多くいるのだ。
もう一つの理由は新たなオプションの模索である。A代表の目下の目標は今秋からはじまるカタールW杯出場だ。引いた相手に対して得点を奪えない、この”負の継承”を断ち切る手段としてより攻撃的な姿勢を示す3バックを採用したのだ。この考え方は誰もが納得できるはずだ。
ではなぜ3バックは機能しなかったのか。
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