・・・心が震えた。
間違いなくこの試合はJリーグ史に残るドラマとして語り継がれていくだろう。
埼スタで浦和に勝利した21年ぶりの歓喜から一年、再び”この地”で何かが起きる・・・そんな予感はあった。
ACL北京戦を控える浦和はターンオーバーを敢行、主力選手の大半を温存した相手にまさかの苦戦を強いられる。22分に長澤 和輝に、その3分後、アンドリュー・ナバウトに、続けざまに失点を喫した湘南は苦境に立たされていた。
「今日は湘南の日でない。」心の中でこうつぶやいた。
この日の湘南はU-20W杯メンバーに選出された齊藤 未月と鈴木 冬一がメンバー外、負傷明けの主将の大野和成と菊地 俊介、野田 隆之介のメンバー入りという朗報もあったが、試合直前のウォーミングアップ中に岡本 拓也にアクシデントが発生。メンバー外を余儀なくされた。
しかし湘南に襲いかかる逆風にそれだけではなかった。
問題のシーンは2点ビハインドで迎えた31分に起きた。ピッチ中央でボールを受けた梅崎 司が体勢を崩しながら前線へ抜け出す杉岡 大暉へパス。ワンフェイントでディフェンダーをかわした杉岡が左足一閃。シュートは右ポストを弾き左サイドネットを揺らした。
ところが、このゴールを審判団はノーゴールと謎の判定。主審は試合の続行を指示し、湘南の抗議を余所に浦和はそのままは相手ゴールへ迫り決定機を作った。もし浦和に3点目が決まっていたらこの時点でゲームは終わっていただろう。
しかし湘南の猛抗議も虚しく判定は覆らない。史上最悪の大誤審を前に怒りが収まらない湘南は2点ビハインドのまま前半を終えロッカールームに下がった。
「やるか、やめるか。」
ハーフタイムで曹貴裁(チョウ キジェ)監督は選手たちにこう問いかけた。無論、その言葉にはボイコットも辞さない覚悟があった。
魂の45分間はここから始まった。
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