八王子を愛し、八王子に愛されるために。
――紙本さんから、生まれ育った八王子への並々ならぬ愛着を感じますが、クラブと地域との関係性をどのようにして育んでいったのでしょうか。
(紙本) 2016年からクラブは八王子の観光PR特使をやらせて頂いております。八王子の魅力を市内市外にPRせよというミッションを任命されたわけですが、これは我々としてもありがたいことだと思っています。アウェイのサポーターさんに「八王子ラーメンMAPを渡したり、観光を推奨したりして、そういった地道な活動をしながら八王子を盛り上げる取り組みを実践しています。
我々としても、カテゴリーは低くても、地域の人たちに応援してもらいたい。そのためにも八王子の“色”を出していく。サッカーに興味のない人でも八王子のチームだから応援しよう、八王子で育った子たちの活躍を支えてあげようと思っていただけるように。そのために我々は育成を重視しています。活動5年目からジュニアユースを、8年目にトップチームを立ち上げ、12年目からがユースチームがスタートしました。そして14年目の今年からジュニアチームも立ち上げ、スクールも並行して運営しています。
幼稚園、ジュニア、ジュニアユース、ユース、でトップがあり、シニアもある。ようやく各世代が揃うようになった。ジュニアユース一期生が今、トップチームでやってくれているので、そういう流れができてくると今後も楽しみだなと思いますし、応援していただける一つの要素になるのではないかと考えています。目標はスタメンの9割を八王子出身の選手でJリーグを戦うこと。八王子純血チームが夢ですね。
――アローレ八王子は、サッカーだけではなく様々な種目でも活動されているようですが、そのあたりには紙本さんのどのような想いが託されているのでしょうか。
(紙本) はい。我々の活動はサッカーだけでなく、バスケットボールやチアダンス、介護予防体操など多岐にわたります。私の中ではJリーグ参入が最終目的ではありません。その過程の中でいかに多くの人たちを巻き込んで、八王子に一体感が生み出せるかということです。
その一体感ができた事によって、今うちでも託児所付きのバレエ教室をやっているのですが、若いお母さんが子供を連れてきた時に、もう少し年上のヨガの会員さんがその子供を預かってくれる。そうなることで、若いお母さんの負担を減らせたり、逆にお年をいったお母さん方も小さい赤ちゃんと接することで元気になってもらったり。助け合いの関係が育まれる。そういった関係があらゆる場面で起こる。八王子を自分たちの手で良くしていくことが我々の最終目的だと思っています。
そして、他種目の競技をしている方々に応援してもらえたり、チアダンスの娘達にハーフタイムショーをやってもらったり。繋がりをきっかけに、サッカーの試合を観に来てもらえるように巻き込んでいこうと考えています。お陰さまでそんなところを評価していただいて、現在は60社近くの後援をいただいていて本当に感謝しています。
――これだけの数の後援を取り付けるのは並大抵のことではないと思いますが、どのようにしてスポンサーを巻き込んで行ったのでしょうか。
(紙本) 私自身が地元で生まれ育っておりますので、地元の小学校の先輩ですとか、身近な繋がりの中で協力してくださる方がポツポツと出てきてくださり、その方々からまた別の方を紹介していただいている状況ですね。スポンサーさんがスポンサーさんを紹介してくださる事が数多くあります。
我々としては信頼していただくことがすべてだと思いますので、できるだけ情報を公開して、絶え間ない情報発信を心掛けています。Jリーグを目指すと同時に、子供達をしっかりと育てる、障害者や高齢者も含めて八王子の街づくりをしっかりやっている姿を見ていただくことで、紹介に繋がっているのではないかと思っています。
――運営面のお話ですが、株式会社ではなく非営利団体として活動されていますが、その理由と今後の展望をお聞かせください。
(紙本) NPOにした理由は、最終的に街づくりが我々の最大の目的だからです。スポーツを通じて街を良くするというのが目的なので、NPOが一番合致するだろうと考えています。正直なところ、Jリーグを目指すトップチームに関しては今後、株式会社化も考えなければいけないと思っています。もっともっと経営力をつけたいですね。クラブとしての強さを求めていかなければ当然上には上がっていけないですから。今その準備を少しずつ進めているところでもあります。
――現在、アローレ八王子は、東京都リーグ2部を戦っていますが、紙本さんは、このカテゴリーにどんな印象を持たれていますか。
(紙本) 野口監督を迎えて、選手もある程度集まってきていますし、しっかり戦力を整えれば東京2部、東京1部くらいは、わりとすんなり上がっていけるのかなと考えていました。今思えば甘い考えですけどね。このカテゴリーでもJリーグ経験者はゴロゴロいますし、おそらく何も知らない人からみれば、趣味でやっている人の集まりかと思われるかもしれません。大学、準トップクラスぐらいを集めてようやく上位争いができる、レベルは非常に高いですね。
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