森の公園プロジェクトとは?
――今後の構想をお聞かせください。
(紙本) ここ(クラブハウス)を人の集う場所にしていくことが大事だと思います。あらゆる世代の方々が集う。そういった繋がりがあることが我々の強みでもあり、もっと広めていきたい。それと同時にトップチームが強くなれば、クラブとして成功の方向に向かうのではないかと思います。どちらかだけではなく両輪を動かしていくことが大切ですね。
そして、直近ではクラブハウスに隣接する森を公園にする『森の公園プロジェクト』を10月から始動します。公園と言いましても大そうな遊具を作ろうという話ではなく、元々ある自然を生かして、子供達が遊べるようなイメージです。スポンサーさんから提供してくださる資材や廃材、リサイクル品を用いて自分たちで作り上げていく。我々だけではできないところは、地域の人のお力をお借りして、愛着を持ってもらえるように巻き込んでいく。
極論を言えばスポーツに興味のない人でも公園があれば遊びにきてくれるかもしれないですし、八王子全体を巻き込むためには、私の中では公園というのも大事な要素だと考えています。アローレ八王子と地域の方々の触れ合いの場を目指したいと思います。
八王子には不思議な独立意識があるんですよ。(笑)東京と言われると東京じゃないと思いますし、都心に行くとも言います。八王子には一つの街意識があるので、企業さんも八王子を盛り上げてくれる。八王子の子供達を育成することに対してすごく応援してくださる。これだけ応援していただきながら、東京都リーグ2部から抜け出して行けないのが、もうホントに申し訳ない。Jリーグに行って八王子を盛り上げて、必ず恩返ししますとみなさんに伝えていますので、そこは私が命がけでやらなきゃいけないと思っています。
――本日はお忙しい中、ありがとうございました。
アローレ八王子 |
東京都八王子市を本拠地とするサッカークラブチーム。東京都社会人サッカーリーグ2部に参加している。将来的なJリーグ加盟を目指すクラブであり、東京オリンピックが行われる2020年までのJFL昇格を目標としている。拠点は八王子市の戸吹スポーツ公園 |
【取材後記】
「サッカーをしてビールを飲みたい。」と仰ってましたが、もう夢は叶ったんじゃないですか?ひと通りの取材を終え、ボクは思わずこう漏らしてしまった。
クラブハウスの其処彼処に貼られていたレーベンブロイのポスターを眺めていると、つい一杯やりたくなる。
「レーベンブロイ出せますよ。営業許可も取ってますし、カフェとして営業もしてるんですよ。」紙本さんは笑った。
「自分が飲みたいからですよね?」
「クラブハウスにビールは絶対に欠かせないので。」
「最近はここでバーベキューをよくやるんですよ。ジュニアユースの子供たちと保護者さんを呼んで、一緒にサッカーをして、その後に大人はビール飲んで、子供たちはジュース飲んで。結構頻繁にやりますね。先週は4回もバーベキューやりましたね。」
紙本さんが大学二年生の頃に観たドイツのサッカークラブがココにあった。
一度も就職しない、そういう生き方があることに驚いた。好きなことで生きていく、その生き様に共感した。
最後に、アローレ八王子の目指すところは何処ですか?という質問をしてみた。夢を与える存在であることと紙本さんは答えた。
紙本諭の背中を見ている子供たちは何を感じているのだろうか。果たして自分は子供たちの希望になれているだろうか。手作りのクラブハウスに腰を下ろしながら考えていたことは概ねこんなことだった。
〈了〉
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