現代サッカーにおいて重要なポジション サイドバックの主人公を描きたかった。
――上野さんにはあらゆる肩書がありますが、どうやって上野さんのことを説明したらよろしいでしょうか。
(上野) スポーツライター、スポーツジャーナリスト、もう1つは、AGI Sports Managemet (株)という会社を弁護士と二人で経営しています。現在はこの二つを軸に活動しています。
――その会社ではどのような業務を行なっているのでしょうか。
(上野) 選手のマネジメントにスポンサー探し、チームやリーグの細々したリクエストに答える、マネジメント系とマーケティング系です。あとはイギリスにいた期間が長かったので、やはりプレミアリーグ関連から依頼される仕事が多いです。
――イギリスにはいつ頃に、どのくらいの期間行かれていたのですか。
(上野) プレミアリーグに変わるとき(1992年2月プレミアリーグ発足)に、ちょうどロンドンに10か月間ほどいました。その時に、あるサッカー媒体から記事を書いてくれと言われ、執筆していましたね。
――では、本題の『アオアシ』について伺いたいのですが、「ユースを題材にしているのが面白い」という読者の声を多く耳にしますが、このアオアシという作品について説明をお願いします。
(上野) 2013年の終わりごろか2014年の最初に、突然、週刊スピリッツの当時の副編集長さんから、僕が原作を書いた神奈川県大和市出身の女子サッカー選手川澄奈穂美選手を描いた『なでしこのキセキ 川澄奈穂美物語(小学館)』を大変面白いと褒めてくださり、今度は「Jユースを題材にしたものを書けないか?」と声をかけられたのが始まりです。
どうしてですかと聞くと、今までのサッカー漫画の題材は高校サッカーばかりで、Jユースはたまに出てくるけど、ワンエピソードか、あるいはヒールか悪役のどちらかだよね。ここに焦点を当ててみたら面白いんじゃない?ということをおっしゃっていました。
その頃、僕は大宮アルディージャの番記者でした。大宮は中村 順さんという育成部長を中心に育成やアカデミーが非常にしっかりしていて、よくユースの練習を見学させていただいていました。そしてもう一つ、柏のユースに吉田達磨さんという非常に優秀な指導者がおられたので、個人的な関心で見に行ったりしていました。その2つのチームで見聞きしたデータが蓄積されていたので、じゃあやってみようか!と思いました。そこでお話が進んでいた小林有吾先生をご紹介していただきました。
――なるほど。そういう経緯があったのですね。アオアシの主人公”青井葦人”のモデルとなった選手はいたのでしょうか。
(上野) モデルとなった人物については創作秘話もあり、お話することが難しいのですが・・ただ、こうは言えます。サイドバックは現代サッカーにおいて重要なポジションであること。
近年、ワールドカップで優勝したチームやチャンピオンリーグで優勝するチームなど、だいたい良いチームには良いサイドバックがいます。2002のブラジル代表のカフー、ドイツ代表のラームもそうですし、ここを描きたかった。
NEXT PAGE→<日本は指導者が軽く扱われがち>
Categories & Tags