日本は指導者が軽く扱われがち
――日本サッカーが強くなるために必要なことは何だと考えますか?
(上野)日本は指導者が軽く扱われがちだと思います。環境も待遇もよくない。カギは指導者育成だと考えています。なので、僕が唯一出した注文は、「指導者をしっかりと描いてください。」ということでした。
今の日本代表の現状でよく言われているのは、何割が高校部活出身、何割がユース出身という話です。だんだんユースが増えていますけど、僕自身は、そのデータはそんなに参考にならないと思っています。そこよりも、高校部活、ユース、お互いが盗みあった方が良いと思っていています。むしろその指標よりもユースの指導環境をよくすることに力を入れたほうが良いのかなと考えています。
例えば、現在J2中盤にいる栃木SCはユースから3選手をトップチームに昇格させました。浜島 淳郎監督という先ほどお話しした吉田 達磨さんの教え子にあたる方なのですが、J2では非常に珍しい土のグラウンドで練習しているのです。この環境から3人も昇格させることができたのは指導者の腕に他なりません。このチームの指導法が面白くて、よくアオアシの取材にも行かせてもらっていますが、やはりユース世代の育成が大事だと痛感しますね。
――高校サッカーは、世界的に見て日本独自のものなのでしょうか。
(上野) 世界的に見ても数少ないですね。
――海外ではユースが礎という常識ですが、日本もこれからこうなっていくのでしょうか?
(上野) そうですね。そうなっていって欲しいですね。僕はレアルマドリードの練習場を見たことがあります。その時、何に驚いたのかというと、ユースの全国誌があるのですよ。それを見たときに、育成の大切さ、文化の違いにびっくりしましたね。その環境でスペインはワールドカップ優勝しているし、結果残していますよね。あのシステムを日本に持って帰るのは難しいですけど、やはりスペインは育成や指導者養成で大変参考になる国ですね。レアル・マドリードの練習場では学ぶところが非常に多いです。
先ほども申し上げたように高校サッカーとユースは、お互いよいところを学び合っていきたいですよね。例えば、ユース側が練習場所を探していたならば、高校が場所を貸してあげる代わりに、ユースの指導者を送ってもらったりするなど。そうやって、互いが融合しあって行くのが、これからの育成のヒントになるのではないかと思いますね。対立軸ではありますが切磋琢磨しあう仲になれば、理想だと思っています。
NEXT PAGE→<世界におけるユース世代の現在地>
Categories & Tags