サッカー馬鹿

2020.5.15

人気サッカー漫画『アオアシ』に託した日本サッカーの未来像〜指導者育成が鍵を握る〜〈アオアシ取材・原案協力 スポーツジャーナリスト上野直彦 インタビュー〉

日本代表となでしこジャパン

――上野さんは、女子サッカーにもお詳しいですが、近頃の女子サッカーについてどのような感触をお持ちですか。

(上野) 今年は、なでしこリーグが30周年ですね。それもあって、いろんな秘策が考えられていますけど、どうなるのかなと見守っています。今後女子サッカーがどうなっていくのかですが、なでしこジャパンで言うと、高倉さん(日本女子代表監督)が楽しみですね。彼女の面白いところはメディアに叩かれても、最後はしっかり結果を出してくるところです。ここはかなり深い取材を継続して行なっているところです。元日本代表監督の岡田武史さんとも違う感じの勝負師かと思いますね。来年のワールドカップと、2020年オリンピックはかなり期待しています。

リーグに関して言うと、ちょっと曲がり角だなと思っています。例えば、選手の待遇どうするのかとか。僕はJリーグと比較してはいけないと思っていて、女子には女子のフォーマットを考えるべきだと思っています。Jリーグの成功例を無理やり女子にも当てはめようとして失敗してきています。その失敗を分かっている人たちが、現在理事に入られていて、今後面白くなりそうだなと思っています。なので、リーグも育成面も変わってくるかなという気はしますね。

 

――日本の女子サッカーこそ、育成がうまくいっていますよね。

(上野) はい。もうおっしゃる通りですよ。それにもいろんな考え方があります。中1までは男子と一緒に練習させた方が良いという意見があり、それだと自信を無くして辞めちゃう子もいるという意見もあり、小学校までは男子と一緒にやるという意見があり。とにかくボールを蹴る機会を増やすということが大事だと思います。いずれにしても僕は、中学時代の育成は男女ともにカギだと思っています。

そこで問題になるのがやはり指導者です。元代表監督の佐々木則夫さんのすごいところは、男子の育成を女子にあてはめなかったところですよね。接し方であり、コミュニケーションも含めて。やはり女子には女子のメソッドを構築していかないといけないですよね。

アオアシに出てくる練習というのは、すべて元ネタがあります。オシムがやった、柏や大宮がやった、常盤木学園がやっているトレーニングを元ネタにしています。なので、なでしこの育成は大変参考になっています。

 

――元代表選手などの、有名な人が指導者や監督をやらなくては良いのではないか、という声もありますがどう思いますか?

(上野) 世界では珍しいことではないですよね。元ACミラン監督のアリゴ・サッキやモウリーニョ(現:マンチェスターU監督)など、世界ではプロ選手の経験が少ない優秀な監督がたくさんいます。だから元選手だけで固めなくても良いなというのは感じますね。現在では早くから選手の道をあきらめて指導者としての勉強をヨーロッパでしている方も多くいます。ヨーロッパなどでは20代の若いコーチなんてたくさんいますから。

 

――森保一さんが日本代表監督に就任についてどう思われますか。

(上野) 僕は良いと思いますよ。過去のワールドカップをみると、日本開催の時以外でベスト16に進出した時の監督は、いずれも日本人なんですよ。何でそこに注目してくれないのかなとは思いますよね。僕は日本人監督賛成派ですね。だから僕は、森保監督なら2020年東京オリンピックもやってくれるんじゃないかなと期待しています。代表監督は日本人でとは、コミュニケーションや知見の蓄積含めてかなり以前から主張していたので、今回の選択はよいのではないでしょうか。

 

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